第一章 第二十二話 決戦の朝
遅れてすみません。
体調が優れず、不定期になっています。
ホントに申し訳ない。
━早朝から外が騒がしい━━
各々窓を開けてみると、校門前に人だかりが出来ている。
嫌な予感と共に、メールが届く。
『今日は休校です。状況を把握出来たら連絡しますので、寮から出ないよう、お願いします。』
生徒総勢十名は少ないが、一斉に出たら手間になる。
待機しろと言われるのも当然だ。
「……いよいよ、始まりましたね。」
静かに、冷たく…。
「大事になってるみたいだね。」
「…けっ。ああいう奴らは何だかんだで、暇人どもなんだよ。」
「確かに、平日の朝にあれだけの人が集まってますもんね。」
今日は叶多ルームに集まった三人。
「……ふぅん、テレビで見たような顔もいるっぽいね。」
「木梨のオヤジもいたりしてなー。」
「それに小夜子先生のお父さんとか……?」
窓の外の人だかりは、依然として変わらない。
この場所からは年齢はおろか、性別や人数を確認することですら出来ない。
「……魔王が勇者の城を攻めに来たようね。
強さを見せつけに来たか、早めに雑草を抜きにきたのかしらね?」
智恵理が細く微笑む。
「実際は誰がいるかわかんないけどねー?
最初から気に食わなかったのは確かだし?
それにあっちだって情報はないはずだよ。」
こちらもリラックスしている。
いや、肝が座っていると言うべきか。
「…"数"で挑むには、こちらの総戦力は低すぎるわ。
まぁ、どの"数"で来るのかは謎だけれど。」
「"数打ちゃ当たる"?、"人数"?」
智恵理は頷く。
「…喧嘩で片がつきゃ簡単なんだがなぁ。」
「停学や退学になるんだ。
きっとお偉方とかいるんだぜ?仇になるだろ。」
「話聞かねーなら、拳で語りたいだけなんだがなぁ。」
「"大人"に俺ら子どもの理屈は通用しないさ。」
身長だけなら、大人顔負けの二人。
子どもに勝手だと言いながら、自分たちの勝手さを棚にあげる。
大概の"大人"がそうだと思っていた。
しかし、ここの"大人"である教師は違う。
"人それぞれ"とはよく言ったものだ。
………ところ変わって、職員室。
「どーするよ?」
外の招かれざる客たちは、校長をご所望だ。
だからと言って、ほいほいとゆるキャラを外に放り投げるわけにはいかない。
スーパーだとて、『責任者を出せ』と言われて直ぐに店長を出すことはしない。
総務マネージャーが基本的にクレーム担当だ。
拉致があかない場合、次は副店長が登場する。
…教頭を出したところで、猛獣の前に兎を放るようなものだ。
従って、教師が表に出るしかない。
だが、上手く対応出来る者がいるかと言えばかなり怪しい。
恭衛に至っては出るつもりが一切ないらしく、突っ伏して寝ている。
「結局のところ、憶測による状況把握しか出来ていませんからね。
だからと言って、このまま籠城してはこちらが不利になります。」
ブラインドから外を確認しながら、溜め息をつく。
「この際、一か八かで四人で行きませんこと?」
彼女にしては珍しく、当たって砕けろ発言だ。
この台詞は、佳奈子ならこうするだろう的なものでしかない。
太郎・小夜子・岬・由也の四人。
恭衛は取り敢えず、置いていこうと話し合う。
「仕方ねぇよな。適材適所ってヤツだ。
ただの消去法にしかならねぇが。」
四人が連れだって職員室を出る。
…後ろから足音が聞こえた。
思わず振り返ると、そこには眠そうな恭衛がいる。
「…霧神先生、どうされましたの?」
「…一蓮托生、と言うだろう?"約束"……したんだ、アイツと。
乗り掛かった船だ。最後まで付き合ってやる。」
「恭衛、カッコいい!惚れ直しちゃう!」
ふざける由也に、心底嫌そうな顔をしてスルーする。
これで佳奈子を除く、五人が揃って戦場に向かうこととなった。
******第二十三話へ******
ついに決戦の火蓋は落とされました。
なま暖かく見守ってくださいね。