第一章 第一話 朝の恒例行事
始まりました!
━━チャイムが鳴り渡る━━
ここは学園寮。
教師、生徒が生活する場所。
勿論、自宅などから通うことも可能である。
教師は総数五名。
生徒は女子生徒総数五名。
男子生徒五名。
男性寮、女性寮に分かれているわけではなく、全てランダムである。
朝のチャイムは三回。
出勤・登校、予鈴、本鈴。
今は出勤・登校チャイム。
わらわらと教師、生徒がドアを開けて出てくる。
しかし、一つだけ開かないドアがあった。
一人の少女がすかさず、容赦なくドアを叩く。
\ドンドンドンドン!/
「恭ちゃぁぁぁぁん!?」
…繰り返すこと10回。
「………なんだ、騒々しい。」
やっと返事が返ってくる。
因みに呼んでいたのは《三嶽佳奈子》、教師である。
少女に見えるが、歴とした?教員だ。
そして呼ばれていたのは《霧神恭衛》、こちらも教師。
イケメンな教師だが、ヤル気が見えない。
「なんだじゃないわよ!授業が午後からでも出勤は朝からだっての!」
「………眠い。それに朝からいればいいのは、担任に割り振られたおまえと時雨だけで十分なはずだ。」
確かに最もだが、理由になっていない。
「職員室で寝てていいから来い!」
滅茶苦茶である。
何とか恭衛を引き摺り出し、隣接された学園へ向かう。
「お?三嶽、おはようさん。」
「あ、太朗ちゃんおはよー!」
同僚の教師、《天川太朗》。
イケメンだが、ちょっと強面である。
「だから、太朗ちゃんはやめろっていってんだろ?」
わしゃわしゃと佳奈子の頭を撫でる。
「あ、う!やめろし!ぐしゃぐしゃにすんなし!」
…両脇から太朗の腕が掴まれる。
「あらぁ♪佳奈子先生、おはようごさいますぅ♪」
後輩教師の《時雨小夜子》だ。
美人教師である。
太朗の腕を掴む手は容赦ない。
対するもう片方は、無言の恭衛。
こちらも容赦ない。
「いてぇよ!おまえら!ただ、三嶽の頭が次朗みたいだからであってだな!」
「…んなこと、どうでもいいですわ。」
すっぱりいい放つ小夜子。
彼女は男性が嫌いなので冷たい。
女性には異常に甘い。
隙を狙うかのように、さっと佳奈子を連れ去る影があった。
「やぁ、佳奈子ちゃん!今日も可愛いね!
さぁ、《HR》の時間だ。
君がいなくては始まらない♪」
佳奈子のクラスの夢島京子、生徒である。
通称《夢島くん》、男装の変わり者だ。
「ちょ…。」
小夜子の制止も間に合わない。
恭衛は面倒臭そうに職員室に欠伸をしながら向かい始めている。
「…………アイツ、女子だよな?」
「………そうですわね。それが?」
服装は基本的に私服も許可されている。
個性的を求めた末路なのだろう。
「あ、おはようごさいます。時雨先生、《HR》遅れてしまいますよ?」
海原岬、最後の教師だ。
カッコいい美人教師である。
一番良識ある教師は彼女くらいだろう。
「あらやだ!岬先生、おはようごさいますぅ!
行ってきますわねー!」
元気にクラスへと向かっていったのだった。
………これがこの学園の朝の恒例行事である。
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