第2話 決死の覚悟でお供えしてみた
幽霊が現れるようになってから数週間が経った頃に、俺は決心した。
このままじゃ毎晩気になって眠れない!何か彼女とコミュニケーションを取る方法はないだろうか……。
そして思いついたのが『お供え』作戦だった 。
「そうだ!きっと彼女にだって何か望みがあるんだ!」
仕事が休みの日、俺は近所の下着店に向かった。
店内で下着を選ぶ男性客なんて俺くらいだったが、恥ずかしさに耐えながら品定めをする。
「何かお探しですか?」
女性の店員に声を掛けられ、ビビった僕は逃げようか迷った。だけど僕は逃げずに立ち向かった 。
「はい!彼女へのプレゼントを探してます!」
嘘だけどそう言うしかなかった。
結局店員さんの勧めてくれたレースのセットを購入。まさか女性の下着は、無条件で上下セットだとは思わなかった。
予想外の出費に、とっても財布が軽くなったが、これも投資だと自分に言い聞かせると心も軽くなった 。
その日の夜。俺は部屋の真ん中に下着を置いて待った。
しばらく待っていると、幽霊は現れたが、お供え物の下着には目もくれない。
「えーっと……これ、あなたへのお供えです」
幽霊女は何も返事をしてくれない。
「お、お気に召しませんか?」
幽霊女は何も返事をしてくれない。せっかく買ってきた『お供え物』には見向きもしない。
俺はめげずに声をかけ続ける。
「それともサイズが違いますか?店員さんも、サイズが合わないようだったら、変更できると言ってました」
当然、返事はない。そこで、僕は最終手段に出る事にした 。
「お願いします!これを履いてください!」
気がつくと俺は土下座していた。
幽霊に向かって土下座をして許しを請う者はいそうだが、自分の好みのパンツを履いてくれと願う者はいないだろう。我ながら情けない姿だと思ったが、僕は真剣だし必死だった。
でも幽霊は相変わらず無関心。そしていつものように消えてしまった 。
「くそー!全然ダメじゃないか!」
お供え作戦は完全に失敗に終わり、僕は布団に入ってシクシクと泣きながら眠りについた。
◆絶景アングルを探せ作戦!◆
下着のお供えが効かないとわかった俺は、今度は別のアプローチを考えた 。
そうだ!もっとよく観察すれば何かわかるかも!
特に彼女のお尻!いつも部屋の隅に立っているから、正面からしか見えないのが問題だった。
この日、俺は部屋の模様替えを決行した。テレビの位置を変え、ベッドの向きも変更。全ては幽霊のお尻を様々な角度から観察するためだった。
夜になって幽霊が現れると俺は早速作戦を実行した。
こっそりと移動を開始。でも幽霊がいる場所には大きな本棚があって、全くお尻が見えない 。
「ちっ!邪魔だな!」
今度は左側から回り込もうとするが、思うような角度にならない 。
「くそー!なんで、そんなに端っこに居るんだよ!」
四つん這いになって床から見上げてみたり、椅子の上に立って上から見下ろしてみたりした。
でも幽霊の後ろを見る事が出来ない。そんな俺の滑稽な動きを、幽霊は全く気にしていない様子だった。
「頼む!一回でいいから振り返って!」
でも幽霊は微動だにしない。
結局この日も何の成果も得られずに終わった 。
明日は本棚を移動させよう……いや、本棚なんて捨ててしまおうか……
そんなことを考えながら、俺は疲れ切って眠りについた 。




