第七話-6
「もしかしなくても裕、あんた話を伝える気ないでしょう」
「それじゃあ、細川さんは何のために今の話をしたんです?」
女三人寄れば姦しいとはいうが、口々に真意を問う言葉が発せられ、細川が目を閉じた。わざわざ難解な表現を使った目的は、ないわけではない。
「丁寧に説明などしたら、君たちから計画が露呈するじゃないか」
細川の懸念はこれだった。細川たちがゆずな側についていると、ストーカーに気付かれてはまずいのだ。そのためには、あえて適当なことを言っておき、狙いを特定しづらくする必要を感じたのだ。……そのために選んだ言葉があまりにも意味不明だったので、無駄に混乱させてしまったようだが。
「ともかく、計画がないわけじゃないんだ。一度俺に、任せてくれないか」
川端家から仮想空間経由で帰宅した細川は翌日、ストーカーの行動範囲を調べるために尾行していた。川端家周辺を徘徊したのち、帰宅していくストーカーの通り道を、精霊たちの視界を借りながら、接近しすぎないようになぞっていく。だがどこかで見失い再度発見したようで、零火に会うと、
「ストーカーというやつは、消えるように現れるらしい」
と真逆の表現をしたことで、
「一〇回死んでも分かる気がしないっすよ!」
と氷を投げつけられた。
屋敷に帰った細川は再び魔道具の研究に取り掛かる。アルミニウム製の軽火器の発砲を見た零火が仕組みを尋ねると、
「熱魔石のエネルギーが、花火が咲き誇るようにして銃弾を放つ」
「やっぱり意味わからないっすよ」
「木の葉を滴り落ちる朝露のように、と言い換えてもか?」
「逆になんでそれで通じると思えるのかが不思議っすよ」
「安心しろ、伝わるようには話していない」
「話すのか話さないのか、どっちなんっすか!?」
「武器の仕組みなどおいそれと人に話せるわけがないだろう」
「急な正論! どうせ聞いたところで、魔道具の作り方なんて普通分かりませんよ」
「ならどちらにしても結果は変わらないのではないか?」
「気持ちの問題っす」
注文の多いやつだ、とぼやきながら、細川は今の今まで話題に上がっていた軽火器を処分した。
01:54、現在寝ぼけながら脳死で書いておりました……。文章少なめですが誤字修正等は起きてからやります。本日二度目の投稿の方はちゃんとやります……。




