あなたを ずっと すきでした
かなり晩熟な女の子と一途な男の子を描きました。
あなたを ずっと すきでした
高校受験の時
たまたま前の席だったあなたが
三角定規を忘れた私に
そっと片方を 貸してくれた時から
あなたを ずっと すきでした
高校生になって
同じクラスであなたの姿を見かけた時
心臓が止まりそうでした
あなたを ずっと すきでした
雨の日も 暑い日も 寒い日も
陸上部で 頑張るあなたを
ずっと応援したいと思っていました
あなたを ずっと すきでした
あなたが かわいい女子に 告白されて
断ったのを 知って ほっとして泣いてしまいました
あなたを ずっと すきでした
いつも何もできない私
遠くからしか 見られない私
でもこのままではいや!
勇気を出して 聞きました
「どこの大学を受けるのですか?」
あなたを ずっと すきでした
あなたは とても難しい大学を受験する
とうてい 私の実力では入れない
そして あなたは その日 ある瞳のきれいな女生徒と 帰っていきました
あなたを ずっと すきでした
わかっていました
私とあなたでは つりあわない
私の存在は あなたにとって 意味をなさないものであることも
しばらく 2人の姿を 見ないように 避けていました
あなたを ずっと すきでした
ある日 あなたと一緒に帰っていた女子生徒が
校門で 私を 待っていました
「あなたが お兄ちゃんの初恋の人ね」
「お兄ちゃん!?初恋!?」
あなたを ずっと すきでした
「家のお兄ちゃん、今時の女子が苦手なの。
おとなしい女子が 好みなんです」
「……。」
何も言えませんでした
あなたを ずっと すきでした
「あの あぁ見えていい兄なので 仲良くしてあげてください」
妹さんは そういうと さっと駆け出していきました
「……。」
やっぱり何も言えませんでした
あなたが ずっと すきでした
私は その日から 恥ずかしくて まともに あなたの顔を見られませんでした
あなたも どうやら 私の異変に気付いたみたいです
それでも お互い 何も 言えませんでした
卒業式が終わるまでは……
あなたを ずっと すきでした
卒業式が終わってしまいました
式で思い切り泣いた私は あなたを 探しました
私だって このままでいいなんて 思っていません
陸上部の部室に 探しにいったとたん はちあわせて
「「あっ」」
あなたと二人 固まってしまいました
あなたを ずっと すきでした
あなたは 間髪入れず そう告げました
「妹から 俺の気持ち 聞いているよね?
でも ずっと関係性が変わらなかったから あなたの気持ちはわかっているつもりです。
でも どうしても 最後に思いを伝えたかった
あなたを ずっと すきでした」
あなたを ずっと すきでした
そう2度告げた彼に 私は言いました
「私も あなたを ずっと すきでした。そして これからも……」
彼は目を丸くして
「それ ほんと?」
私は頷いて
「今日まで 私なんかを好きでいてくれるはずがないと勇気がでなかったのと
受験勉強を邪魔したくなかったのです」
と答えました
あなたを ずっと すきでした
あなたは 泣きそうな声でいいました
「すっと 片思いだと思ってた」
「ごめんなさい」
私も胸がいっぱいで 卒業式とは別の涙が流れました。
3年分のお互いの思いを込めて
私たちは そっと 手を重ねて 笑いあいました
柔らかで 暖かな 春の日差しの中
私たちの初恋は 永遠となるスタートをきったのです
そして 今……
春になる度 そっとつぶやいています
あなたを ずっと 愛していますと
お読みくださり、ありがとうございました!
誤字脱字報告をしてくださった方、感謝致します。ありがとうございました!