第96話 『登場イタッチ』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第96話
『登場イタッチ』
「さてと、んで。お前達はお宝を盗みに来たってわけじゃなさそうだな……」
橋に現れた怪盗。彼はスティンクを睨む。
「私達は私達を捕まえられる人物に探しに来たんだ」
「自首か? ならもうちょっと静かにやってもらいたいもんだね」
「自首……そうだな。だが、そうはいかない。私達のためにもな……」
スティンクはナイフを構え、イタッチに襲いかかる。鋭いナイフ捌きだ。しかし、その攻撃はイタッチに掠ることすらない。
「良い、攻撃だ。しかし!!」
イタッチは折り紙の剣でスティンクのナイフを弾き飛ばした。
「まだまだ甘い!!」
「私のナイフが!!」
ナイフは弾かれたことで、橋から落ちて川に沈んでいく。武器を失ったスティンクは一旦距離を取ろうと、後ろに大きく飛ぶ。
だが、イタッチはそれを予測していたようで、スティンクと同じ距離前進して、スティンクを逃さない。
「なに!?」
「行動の先読みは常識だ。この程度に驚くなよ」
イタッチは折り紙を折ると、ロープ作ってスティンクのことを縛り上げた。
「この私が……あの一瞬で…………」
簡単に捕まってしまったことを驚くスティンク。イタッチはスティンクの行動を封じ終えると、折り紙で救急箱を作り、フクロウ警部の元に戻ってきたマグロ巡査に包帯を渡した。
「応急処置はしたみたいだが、その傷だ。こいつを使え」
マグロ巡査が救急箱を開けると、パトカーに積んであった物よりも、多くの種類の治療薬が入っていた。
「アンの見立てだと、応援が来るまでもう少しかかる」
「イタッチ。感謝する。これで警部の治療が出来る」
マグロ巡査はフクロウ警部に更なる応急処置を施す。
治療を受けているフクロウ警部にイタッチは悪い顔であることを言う。
「しかし、お前がこの程度のやつにそこまでやられるか? 油断でもしてたか?」
「油断なんてするか……」
イタッチの活躍でスティンクの高速に成功した。残る人物は……。
「ディー、この泥棒をやれ!!」
折り紙で拘束されたスティンクが仲間のディアーに命令を出す。
アライグマ警部補達に足止めされていたディアーだったが、スティンクが拘束されたことにより力を増す。
仲間を助けるため、斧でアライグマ警部補達を払いのけると、真っ直ぐイタッチに突進する。
斧を振り上げてイタッチに向かうディアー。だが、
「いかせねぇよ」
空から飛び降りるように現れたダッチウサギ。彼はイタッチとディアーの間に入り、ディアーの行く手を塞ぐ。
「イタッチ、コイツは俺がやって良いのか?」
「ああ、お前にちょうど良い相手だ」