第95話 『逃げろ、警部』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第95話
『逃げろ、警部』
マグロ巡査がフクロウ警部を連れてディアー達から逃げようとする。
ディアーは逃さないと追おうとするが、アライグマ警部補とキツツキ刑事が通せんぼしていた。
「ディー……。仕方がない。私がやる!!」
スティンクはディアーでは間に合わないと判断し、自身でフクロウ警部にトドメを刺しに行く。
「ネコ刑事。そいつを止めろ!!」
アライグマ警部補がネコ刑事に、スティンクを止めるように指示を出す。
背を向けたスティンク。ネコ刑事は拳銃に弾をこめると、背を向けたスティンクに向けて弾丸を放った。
ネコ刑事の弾丸はスティンクの背中に触れそうになるが、スティンクは腰のベルトに触れると、背後に壁を作り弾丸を防いだ。
「今のを!?」
防がれると思っていなかったネコ刑事は驚き、耳をピンとさせる。
スティンクはネコ刑事の弾丸を防いだ後、止まることなくフクロウ警部を目指す。
「マグロ巡査!!」
「っくぅ、俺しかいないのか!!」
マグロ巡査は警棒を手に、向かってくるスティンクを迎え打つ体制になる。フクロウ警部を背を向け、スティンクを迎え打つ。
「貴様など、相手にならん」
スティンクはベルトからある装置を取り出した。それも他の道具と同様に月光社から購入した武器。
見た目は小型のナイフだが、熱を帯びており、高温の刃は対象を焼き切る。
「ハァァァッ!!」
マグロ巡査の鋭い突きがスティンクを狙う。しかし、身体を逸らし、突きを躱したスティンクは警棒を切断すると、マグロ巡査を蹴り飛ばし、フクロウ警部から突き放した。
「良い仲間だ。だが、所詮はここまで……」
マグロ巡査は蹴り飛ばされ、フクロウ警部は一人だけになってしまう。傷を抑え抵抗することもできないフクロウ警部は、ナイフを構えたスティンクを見上げた。
「俺は期待外れだったか……」
「そうだ。私達より弱い貴様にもう用はない。……本当に残念だったよ」
「そうか…………。俺も残念だ、アイツを頼ることになるなんて……な」
「アイツ?」
「そうさ、お前達は俺に執着しているが、俺なんていつもいつもアイツに負けてばかり……。良いか、覚悟するんだな」
フクロウ警部は朦朧とする意識の中、奴を睨んだ。
「アイツ、俺より燃えるぜ」
フクロウ警部がそこまで言ったところで、スティンクはやっと気づいた。
フクロウ警部の目線の先は、スティンクではなく。その後ろ、橋のアーチに立つ男を見ていたことを……。
スティンクはフクロウ警部の見ていた人物に気づき、振り返りその人物の正体を知ろうとする。だが、その時にはもう遅かった。
その人物はアーチの上から飛び降りて、すでにスティンクのすぐ背後まで近づいてきていたのだ。
スティンクの背後に来た人物は、折り紙で作った剣に斬りかかる。数秒の出来事、だが、ギリギリのところでスティンクはベルトに触れて、空気の壁を作り剣を防ぐことに成功した。
「よぉ、フクロウ警部。大変そうだな」
剣を防がれたイタチだが、焦ることなく。スティンクとフクロウ警部の前に着地する。
そして怪我をしているフクロウ警部にニヤリと嫌な笑顔を見せた。
警部は傷を抑え、痛みを耐えながらも負けまいと笑って返す。
「……今更登場か。……随分遅いじゃないか」
「それだけ笑えれば安心だ。…………お宝を盗むだけのつもりだったんだがな。ここからは俺たちに任せな」