第94話 『フクロウ警部と仲間達』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第94話
『フクロウ警部と仲間達』
フクロウ警部に向けて斧が振り下ろされる。傷を押さえ、逃げる力も残っていないフクロウ警部は目を瞑る。
「警部!!」
ネコ刑事の叫ぶ声が聞こえる。フクロウ警部の目と鼻の先に刃が迫った時。
「警部!!」
ディアーの身体が横にズレる。フクロウ警部の真横を斧が通り、ディアーの攻撃は外れた。
「……アライグマ警部補!?」
片腕を抑えたアライグマ警部補が、ディアーにタックルしてフクロウ警部を救ったのだ。
「警部……逃げてください。ここは俺が……」
「アライグマ警部補。お前もその傷じゃ……」
「警部に比べれば、余裕ですよ……」
アライグマ警部補がフクロウ警部を守るように立ち塞がる。
「マグロ巡査!! フクロウ警部を連れて逃げろ」
アライグマ警部補が言うと、倒れていたはずのマグロ巡査は立ち上がり、フクロウ警部の元へ向かう。
「マグロ巡査……」
「傷口を見せてください」
片目が潰れ、マグロ巡査もかなりのダメージのはずだ。そんな状態なのにフクロウ警部の応急処置をすると、フクロウ警部を支えて立ち上がる。
「アライグマ警部補。任せましたよ……」
マグロ巡査はフクロウ警部を連れて、ディアーから離れようとする。そんな二人を見て、スティンクはディアーに命令を出す。
「ディー、二人を逃すな!!」
「………………」
ディアーは逃げようとするフクロウ警部達を追おうとする。しかし、アライグマ警部補が立ち塞がって行かせない。
「行かせるか……」
アライグマ警部補は拳を握りしめて、正拳突きを喰らわせる。さらに追撃で上中下段の蹴りを素早くディアーに入れた。
「…………」
しかし、ディアーは全く怯むどころか、ダメージを受けている様子がない。
無傷のディアーは斧を振り上げて、邪魔者であるアライグマ警部補を切り倒そうとする。
「逃げろ、アライグマ警部補!!」
まともに食らえば、身体は真っ二つになる。そんな一撃。
しかし、斧を振り上げたディアーの身体を弾丸が貫通し、ディアーの攻撃は止まった。
「キツツキ刑事!!」
銃を撃ったのはやられていたはずのキツツキ刑事。トラックの後ろに隠れ、ディアーを狙撃した。
「……くっ、急所を外した」
普段なら外すはずのない場面。だが、キツツキ刑事はダメージから、重心がずれて急所を外してしまった。
それでもディアーの肩には穴が空いている。これだけで十分のダメージだ。
「今だ。フクロウ警部を逃がせ!!」
キツツキ刑事とアライグマ警部補が叫ぶ。それに従うように、マグロ巡査は必死にフクロウ警部を連れて行く。