第93話 『橋の上での大決戦?』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第93話
『橋の上での大決戦?』
ディアーの攻撃で橋が揺れる。その揺れでフクロウ警部がバランスを崩している最中に、ディアーはフクロウ警部に近づいた。
「しまった!? この距離は!!」
斧が振り下ろされる。フクロウ警部はどうにか回避しようとするが、斧が腹を切り裂いた。
ダメージを負いながらもフクロウ警部は一旦距離を取る。しかし、痛みに耐えかねて羽を地面につけて膝をついた。
「……………はぁはぁ」
フクロウ警部は羽でダメージを受けた腹を撫でる。白い羽は真っ赤に染まり、羽が水分を吸収して重たくなる。
「期待外れか。フクロウ警部……。今の一撃も防げないとは……」
「期待外れ……か。悔しいこと言ってくれるね……」
強がってはいるが意識が朦朧とし始め、耳鳴りでスティンクが何を言っているか、ハッキリと聞き取れない。
「警部!!」
本部との連絡を終えたネコ刑事がトラックの後ろから駆けつける。しかし、そこにいたのは二人の強盗犯にやられた警官達の姿。
「貴様ら、よくもみんなを!!」
ネコ刑事は拳銃を取り出して、斧を持つ鹿に向ける。
フクロウ警部は傷を押さえながら、ネコ刑事に気づくと、
「ネコ刑事…………」
傷の痛みを耐えて、ネコ刑事に向けて叫ぶ。
「逃げろ!!!! 応援が来るまで逃げるんだ!!!!」
ネコ刑事が応援を呼んでから数分。初めからイタッチ対策で、近くに別動隊を配備しておいた。
もうその別動隊が応援に来ても良い頃だ。
「応援は来ません……」
「なに!?」
「全体全滅……。です…………」
ネコ刑事達の話を聞いていたスティンクは肩を上下させて笑う。
「邪魔者が入るとつまらんからな。ここに来る前に……な」
襲撃を受けている報告すらさせず、静かに全隊を全滅させていた。
これほどまでの実力者なのか……。いや、その実力があるからこそ、護衛のトラックまでたどり着いたんだ。
「ディー。そいつに期待ほどの実力がないなら、この遊戯も終わりにしろ」
「………………」
スティンクの命令に従い、ディアーが斧を振り上げるとフクロウ警部に近づく。
「やめろ!! 警部に近づくな!!」
ネコ刑事はディアーに向けて発砲する。しかし、ディアーを守るようにスティンクが素早く動くと、腰につけていたベルトに手を触れると、透明な防御壁が現れて弾丸を防いだ。
「弾が!! なんだあれ!?」
「月光社から買い取った特殊装置……。一秒にも満たない短い時間だが、その間に空気を圧縮した壁を前方に作ることができる」
ネコ刑事の抵抗も防がれ、フクロウ警部の前に立ったディアーは斧を下ろす体制になる。
「…………」
「やれ、ディアー」