第91話 『13日に襲撃者とお宝』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第91話
『13日に襲撃者とお宝』
フクロウ警部はパトカーでトラックの後ろを護衛する。パトカーを運転しているのはネコ刑事は、周囲の様子を見る。
「怪しい人物はいませんね」
「まだまだ始まったばかりだ。油断するな」
このまま何事もなく輸送が出来ればいい。しかし、予告状が出た以上……。
空港に向かうために橋を渡る。その橋を渡っている最中、橋の真ん中でトラックが止まった。
「ん、どうしたんでしょう?」
ネコ刑事はパトカーについている無線で、前にいるパトカーに状況を聞こうとする。
しかし、
「警部……助け…………」
「なんだ、何があったんだ!!」
無線から聞こえた助けを求める声。フクロウ警部とネコ刑事が急いでパトカーから降りた時。
トラックの前方から爆発音が響いた。
「爆発!?」
そして熱気と共にトラックを飛び越えて何かが吹っ飛んできた。
それは勢いよくパトカーのフロントに突き刺さる。
「なっ!? キツツキ刑事!!」
全身に酷い火傷と切り傷を負ったキツツキ刑事の姿だった。フクロウ警部はキツツキ刑事の安否を確認する。
「まだ息はある。急いで応援と救急車を!!」
フクロウ警部はネコ刑事は命令する。ネコ刑事はパトカーに手を伸ばし、無線で応援を呼ぶ。
「フクロウ警部、どこに!!」
通信をしているとフクロウ警部は銃を取り出して、トラックの前に走って行こうとする。
「前にいる奴らを助けに行く」
「危険です!! 状況を確認してからでも!!」
「そんなことしてたら助けられる奴も助けられない!!」
フクロウ警部はネコ刑事の反対を押し切り、一人でトラックの前方へ向かう。トラックのある場所にたどり着くと、そこには……。
「やれ!!」
「………………っ」
斧を持った仮面の鹿と、その鹿に命令するカメムシの姿があった。
鹿は斧を振り上げ、地面に倒れているアライグマに向けて、振り下ろそうとしている。
フクロウ警部は拳銃を取り出すと、素早く鹿の持つ斧を弾き、攻撃を防いだ。
斧は弾き飛ばされて橋を転がる。
「……フクロウ警部か」
アライグマのすぐ近くにマグロ巡査も倒れている。
犯人はどう見ても……。
「貴様ら何者だ!!」
フクロウ警部は鹿とカメムシに向けて叫ぶ。
「……………」
鹿は落ちた斧を拾いに向かい、カメムシはフクロウ警部と向き合うと大声で笑った。
「フクロウ警部。あなたに会いたかったぞ」
「誰だ。俺はお前達を知らないぞ」
カメムシは両手を広げるポーズを取る。
「私はスティンク。そうね、初めてお会いした!! だが私はずっと待ち侘びていたんだ。我が愛しの警部様」