第88話 『パイナップル様』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第88話
『パイナップル様』
「しかし、あの遺跡の中にお宝はあるんだろ。どうするんだよ」
遺跡に住む怪物を警戒し、遺跡の前にある森で相談し合うイタッチとダッチ。
イタッチは折り紙であるものを作る。
「知性があると言っても植物だ。それに知性があるからこその弱点もある」
イタッチが折り紙で作ったのは身に纏うことができる鎧。しかし、ただの鎧ではなく二重構造になっており、外側には何か液体のようなものが噴き出している。
「なんだこれ?」
不思議がって触れようとするダッチを、イタッチは止める。
「触らない方がいい。人への害は減らしてるが毒だからな」
「毒!? もっと早く言えよ!!」
「すまないな」
イタッチはもう一着、同じ鎧を作るとダッチに渡す。
「これが毒だとわかれば触れないはずだ。時間をかければ対策手段を思いつかれるかもしれないが、早急に決着をつければどうにかなる」
イタッチとダッチは毒の鎧を身につけて遺跡に入った。蔓は伸びてきて二人に触れようとしたが、違和感に気付いたのか、一定の距離を取りそれ以上は近づかない。
「急ぐぞ」
遺跡に入った二人は急いで遺跡の奥へと向かう。折り紙で松明を作り、奥へと入ると閉ざされた扉があった。
「ここは俺に任せろ」
ダッチが刀で扉を切り壊すと先の部屋へとたどり着いた。
そこは壁や天井に蔓の生い茂った空間。そしてその空間の最奥にお宝を持った存在がいた。
「なんだあれ、植物の……人間か?」
そこには人の姿をした植物が座っていた。松明で照らすと、その美しい姿がはっきりと見えて神秘的な造形をしている。
「女性が、植物に取り込まれたのか? それとも…………」
ダッチは首を傾げて不思議そうな顔をする中、植物の眼が開く。
殆ど人間と変わらない眼球。それでイタッチ達を睨みつける。
「イタッチ。コイツは……」
「さぁな。俺の知識にもない……。だが、コイツが俺たちを嫌ってるのだけはわかる」
睨みつけられる二人を囲むように、部屋中の蔦が動き出す。さらに唯一の入り口も蔦が壁になって塞ぐ。
「俺達を逃さないってか……」
ダッチは刀を抜いて植物をすぐにでも攻撃できるようにする。
イタッチは顎に手を当てると、
「コイツはしてやられたかもな。わざと俺たちを誘い込んだか……」
「イタッチ。どうする? この植物どもを全て叩き切るか?」
イタッチは折り紙で剣を作ると、両手で持って構えた。
「お宝はコイツらの手の中だ。全部叩き切って盗み取るぞ」
「了解だ、相棒!!」