第81話 『追って追われて』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第81話
『追って追われて』
「イタッチ、待てぇ!!」
パトカーがすぐ後ろにつき、追ってくる。イタッチはバイクに乗ってフクロウ警部達から逃げていた。
「まだ来るか」
イタッチはパトカーが入れないような、狭い路地に入る。パトカーでは横幅が足りない道だ。
流石にこんな狭い道までは追ってこないだろうと、イタッチは運転しながらミラーで後ろを見た。しかし、
「まだだぁ!!」
フクロウ警部はパトカーを斜めにして無理矢理路地に入って来ていた。
「おいおい!?」
イタッチはバイクの速度を速くする。フクロウ警部達もアクセルを踏んで追って来た。
「警部!? 車の壁が焦げてますよ!!」
「構わん!!」
ネコ刑事がビビる中、意地で追いかけるフクロウ警部。車体の側面は火花を散らし、焦げてきている。
路地を抜けると、小さな川に出た。イタッチは柵を飛び越えて、川の中に突っ込む。
川は深くはなく、バイクのタイヤも少し沈むのみ。そのまま川を横切っていく。
「川っ!? 警部止まってください!!」
「構わん!!」
パトカーも川に突っ込み、川の中にタイヤをつける。
アクセルを踏んで追いかける。
「イタッチィィィ!!」
「まだ追ってくるのかよ!!」
バイクは川を抜け出して川沿いに逃げていく。パトカーも川を抜け出してイタッチを追う。
「ネコ刑事、何を食べてるんだ?」
「川魚」
いつの間にかネコ刑事が魚を咥えていたが、関係なしに進んでいく。
「イタッチィィィ、待て!!」
「今日は頑張るな!」
イタッチは折り紙でソゲトゲの針を作る。そしてそれを道路にばら撒いた。
「フクロウ警部ゥゥッ!!」
「構わず突破するぞ!!」
フクロウ警部はパトカーでトゲを踏みながら突破する。しかし、タイヤがボロボロになりコントロールが効かなくなった。
「警部、ここまでですよ……」
「諦めてたまるか!」
フクロウ警部はパトカーから降りると、走ってイタッチを追いかける。しかし、相手はバイク。追いつけることもなく、距離が離されていき、ついには見えなくなってしまった。
「はぁはぁ、警部、待ってください……」
「また逃げられたか……」
「逃げられましたね」
川の向こうに日が落ちていく。
「警部、帰りましょう」
「ああ、そうだな」
フクロウ警部はパトカーを回収し、帰って行った。
パトカーの修理を任せて、フクロウ警部とネコ刑事は夜ご飯を食べにいく。
「蕎麦はどうだ?」
「蕎麦ですか……。良いですよ。魚じゃ足りなかったですし」
「そういえばお前……食ってたな」