第74話 『無題』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第74話
『無題』
「ブラック……」
フクロウ警部とブラックは向き合う。折り紙を剣に変化させたブラックはフクロウ警部に剣を向ける。
「俺がオリジナルになんだって?」
「あんたには分からないさ」
ある森には光だけでなくあらゆるエネルギーを反射する特殊な葉を持つ植物が存在する。
植物の反射はあらゆるものを反射することで、森の植物は七色に光り、森の上空には年中虹が存在している。
鏡よりも純度の高い反射。それに映し出されるものは、視覚に見えるものだけではなく、意識すらも反射する。
「イタッチを倒して俺はオリジナルになる。そのために警部、アンタもここで消えてもらう」
ブラックは剣を握りしめフクロウ警部に斬りかかる。フクロウ警部はハンドガンでブラックの足を狙うが、ブラックは高く飛び上がり弾丸を躱した。
「急所を狙えば良いものを、その優しさが貴様を終わらせるのだ!!」
ブラックの剣がフクロウ警部に振り下ろされる。フクロウ警部はハンドガンの銃口を上げようとするが、間に合わない!!
「ッ!!」
金属同士のぶつかり合う音。フクロウ警部に剣が当たる前にブラックの剣は止まった。
「おい、ブラック……何してる」
赤い剣が紫の剣と交差して動きを止めていた。
「来たか……。オリジナル」
「イタッチ!!」
ブラックの剣を止めたのは、遅れてやってきたイタッチ。イタッチは間一髪のところでブラックの剣を止めた。
イタッチは剣を片手に持ち替えると、残った手で折り紙の手裏剣をブラックに投げる。
ブラックは手裏剣を避けるために、一時的に後ろに飛んでイタッチ達から距離を取った。
「イタッチ、お前……」
「フクロウ警部。お前なら入ってくるとは思ってたが、無茶のしすぎだ。予告状が二つ届いた時点で、分かってたんだろ」
「…………ああ」
「俺はブラックと決着をつける。あんたはそこで見てな」
イタッチは剣を握りしめてブラックと対峙する。
次の瞬間、二人は一瞬で距離を詰めてお互いの距離が至近距離になる。
「よぉ、オリジナル……」
「ブラック。何が目的だ!」
ブラックと向き合うイタッチ。二人は睨み合うと、折り紙の剣をぶつけ合う。
二人は剣を弾き合い、押されあって後ろへと押される。その力で二人の距離は一度離れる。
「お前と同じさ」
「同じ……お前もあれを狙ってるのか」
「そうさ。大宇宙からの訪問者、スペースオブジェクトを……」
ブラックは部屋の奥にあるお宝に目をやる。しかし、イタッチはブラックの答えを否定した。
「違うな。お宝を手に入れる、それはお前にとってどんな意味がある」