第71話 『騙されたな!』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第71話
『騙されたな!』
警官の突撃隊が塔の階段を登ってくる。塔の上にいるイタッチは、ダッチとアンに指示を出す。
「計画通りだ。頼んだぜ」
「はい!!」
イタッチが合図を出す二人の返事が聞こえる。
「怪盗イタッチ!! 貴様らを逮捕する!!」
警官達が登り終えて、イタッチ達の元へと辿り着いた。しかし、そこにいたのはイタッチのみ、残りの二人は折り紙で作った偽物だった。
「騙されたな」
イタッチは折り紙で爆弾を作ると、警官達に投げ渡す。キャッチした警官達は慌てて、爆弾を渡し合う。
何人かの警官が爆弾を渡し合い、五人目になったところで爆弾のタイマーがゼロになった。警官達は目を怖さで目を瞑った。
しかし、何も起こらない。警官達が目を開けると、爆弾から芽が出て、チューリップが咲いていた。
イタッチは警官が目を瞑った隙にグライダーを作り空へと逃げる。
「それは折り紙で作ったチューリップの球根だよ!」
警官達は追いかけたいが、空に逃げられたら追うことはできない。下で待機しているフクロウ警部に無線で状況を知らせる。
「ああ、見えていた。お前達は降りてこい。俺が追う!!」
フクロウ警部は警官に指示を出すと、残っていた警官を連れグライダーで空を飛ぶイタッチを追いかける。
「イタッチはどこに着地する気なんでしょう?」
フクロウ警部と並走し、ネコ刑事が尋ねる。
「着地するとしたらあのドームだ!!」
この施設は三つの施設に分けられる。実際にロケット発射の時に使われていた研究スペース。そこから増築を行い、増やしたドーム場の展示エリア。そしてシステム管理を行うセキュリティールームだ。
フクロウ警部は部下を連れて、展示エリアへと走り出す。
フクロウ警部の予想通り、イタッチはドームの方へと飛んでいく。
「警部、このまま進んでもイタッチは、ドームの中には入れませんよ」
ネコ刑事がイタッチを目で追いながら現状を説明する。
イタッチが向かっているドーム場の施設は一階の入り口と二階も大窓がある。しかし、イタッチの向かっている大窓は夜間になるとセキュリティーシステムの制御で中に入れない様にしまっているのだ。
「ああ、いつもならイタッチの仲間の援護がある。だが、ここのシステムはネットワークは使えない!!」
だが、イタッチが近づくと大窓が横にスライドして開き始めた。
「なに!? なんで開くんだ!!」
「警部!!」
驚いているフクロウ警部に無線から連絡を受け取った警官の一人が駆け寄ってくる。
「システムルームに侵入者二名!! 警備のものは全滅です!!」
「まさか、ダッチか!!」