第70話 『お宝を守るシステム』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第70話
『お宝を守るシステム』
イタッチ達は廊下を進み、今回の作戦のことについて伝える。
「この先のセキュリティーが厄介なんだ」
イタッチがそう言うとアンは手を上げる。
「私がいますよ。私なら大抵のシステムなら突破できます。でも、現地に来る必要は……?」
「ああ、だからアンを呼び出した。そして現地に来る必要があったのは……これだ」
廊下を進んだイタッチ達の前に現れたのは、巨大な機械の塊。その大きさはトラック並みの大きさだろう。
「これって……」
「当時ロケットを打ち上げる際に使った特注のコンピュータだ。今はこれが施設の管理を行っている」
機会を見たアンは興奮して身体を跳ねて喜ぶ。
「これってBR126cdfですね!! 本当にこんなものがあったなんて!!」
興奮するアンの姿にダッチは尋ねる。
「知ってるのか?」
「はい!! 当時のコンピュータ技術では不可能だった演算を無理矢理行える様にした機械です。無理に可能にしたため、大きくなってしまったんです」
「ん? じゃあ、コイツはすげぇってことなのか? ガキでも苦戦するほど」
「いえ、私なら余裕です。でも、問題なのは古すぎてネットワークに接続できないんです。だから私が来る必要があったんですね」
イタッチは頷く。
「予告の時間になったら、アンはコンピュータにハッキングしてシステムをダウンしてくれ。ダッチはアンの護衛だ」
ダッチとアンの二人は頷く。
「ガキのお守りかよ」
「よろしくお願いしますね。ダッチさん!」
「…………おう」
イタッチは二人の前に立つと、拳を突き出す。
「システムを押さえている間に俺がお宝を盗む。頼りにしてるぜ」
拳を突き出されたダッチとアン。
二人も拳を握りしめると、イタッチの拳に拳を当てた。
三人の拳が当たり合う。
「はい! 任せてください!!」
「ああ、任せろ。相棒!!」
それから数時間後。日が沈み、月が施設を照らす。
「よし、結構の時間だ」
施設に隣接する塔。その屋根の上に三人の影が映る。
赤いマントを靡かせるイタチ。
コートにサングラスを掛けたダッチウサギ。
パソコンを持ったフード付きの服を着た子猫。
三匹は夜の空から獲物を狙う。
「警部!! あそこを!!」
パトカーで施設を囲み、周囲を固めていた警官の一人が塔の上にいる三匹に気がつく。
警官に呼ばれ、フクロウの警官がパトカーから出てきた。
「……何が起ころうとお前が予告を出したお宝を諦めるわけがないよな」
フクロウ警部は帽子を深く被り、塔にいるイタッチを睨んだ。
そして警官達に指示を出す。
「必ずイタッチを捕まえる!! そしてブラックにも用心しろよ! 全力を注ぎ、我々が奴らを逮捕する!!」