第68話 『宇宙の宝石』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第68話
『宇宙の宝石』
「よぉ、オリジナル……」
「ブラック。何が目的だ」
ブラックと向き合うイタッチ。二人は睨み合うと、折り紙で同じように剣を作り出し、同じような動きをして剣を振る。
二人の武器が重なり合い、火花を散らす。
二人は剣を弾き合い、押されあって後ろへと押される。その力で二人の距離は一度離れる。
「お前と同じさ」
「同じ……お前もあれを狙ってるのか」
「そうさ。大宇宙からの訪問者、スペースオブジェクトを……」
1979年。一台のロケットが宇宙へと飛びだった。このロケットは今もなお地球の周囲を周回している。
当時ロケット発車に使われた施設は今では宇宙に関する品々を展示するステーションへと変貌し、毎年何万人もの観光客がやってくる。
「こちらをご覧ください」
施設内はスタッフがグループごとに案内をして、説明をしてくれる。
「これは当時ロケット使われたロケットの部品を参考に作った模造品です。こちらのエンジンを使用することで瞬発的なエネルギーを放出していたのです」
タコのスタッフの説明を、興味深そうに聞く客、つまらなそうに聞く客。それぞれが個性がある。だが、その中でも最も目立った少女。
「へぇ〜!! これがこれが!!」
眼鏡をかけた子熊が楽しそうに呟く。これを出しているため、周りの客は嫌そうな顔をしているが、その子熊は気づいていない様子だ。
「やっぱり凄いなぁ、来て正解だったぁ!!」
スタッフが次の場所に行き、客の集団もそれをついていく。
「お嬢さん、みんな言っちゃうよ」
前の展示品に気を取られて置いていかれそうになっている子熊に老人のイタチは声をかける。
「あ、本当だ!! お爺さん、ありがとね!!」
子熊は客の集団の元に走っていき、無事に合流した。
合流した子熊は後ろでついてきているであろう老人に話しかける。
「お爺さんもロケットに興味があってきたの?」
しかし、返事はない。子熊が振り向くとそこには誰もいない。
「ねぇ、さっきそこにいたお爺さん知らない?」
子熊は近くにいた同じグループの客に尋ねる。しかし、
「ん? いや、知らないが」
「あれ? でも、確かにいたんだけどなぁ」
子熊は不思議に思いながらも次の展示品を見る。
「遅いぞ、イタッチ」
施設のレストランフロア。そこのテーブルにコートを着たダッチウサギとノートパソコンを操作している子猫がいた。
「お待たせ」
老人のイタチはその二匹に合流すると同じテーブルに座る。
イタチが座ると痺れを切らしたウサギがイタチに尋ねた。
「っんで、例のお宝はあったのか?」
「ああ、しっかりとあったぜ」
「それは良かった。なら計画通りか」
「いや、そうはいかないみたいだ……」