第55話 『悪魔と怪盗』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第55話
『悪魔と怪盗』
地下室にたどり着くと、暗闇の廊下が続く。二人はその廊下を進み、お宝の在処を目指す。
「本当にこの先にあるのか? なんだか人の気配がしないぞ」
「なるべく人を近づけないようにしてるからな。この扉の先だ」
二人が進むと扉のある部屋にたどり着いた。扉に手をかけようとするダッチをイタッチが止める。
「待て。この先は映像が配信されてる。……アン、聞こえるか?」
イタッチが無線でアンに話しかける。すると、すぐに返事が返ってきた。
「はい。映像を別の映像とすり替えれば良いんですね」
「ああ、頼んだぞ」
「…………できました。入って大丈夫です」
アンが映像をハッキングして少し前の映像をループして流す。今のうちにイタッチ達は扉を開けて中に入った。
中に入るとガラスケースに入れられ、厳重に保管されたデーモンリングが飾られている。
ダッチはお宝の元に駆け寄る。
「イタッチ。お宝があったぞ」
「よし、ダッチ! それを持って逃げるぞ!!」
イタッチはダッチに折り紙で作った鍵を渡す。鍵をケースにある穴に嵌めると、鍵が開いてケースが外せるようになった。
ダッチがお宝を取り出して、すぐにこの場から逃げようとする。
だが、ダッチは手を滑らせてお宝を落としてしまった。
地面にリングが落ちると、リングの中央から暗い液体が漏れてくる。
「イタッチ、大変だ……」
「どうした!? ……なんだ、これ」
そしてその液体と一緒に何かが這い出てきた。リングの円は数センチ程度、だが、その這い出てくるものはリングを通り抜ける時は身体が小さく変化して、リングから出ると元の大きさに戻る。
「なんだこいつ……」
リングから出てきたのは二足歩行のカバ。カバはリングを拾い上げると、ダッチとイタッチを睨みつけた。
「お前達か、俺をここに縛りつけたのか?」
「なんのことだ?」
イタッチが聞いてもカバはまともに話を聞く気がないのか、答えることはなく。
背中から黒い翼を生やした。
「まぁ、どちらでも良いか。どちらにしろ、生贄が欲しい」
カバはそう言うと、二人のことを両手で指差す。そして、
「どちらが生贄になる。一人だけ生かしてやる、そう、一人だけだ」
イタッチは折り紙の剣を作り、ダッチは刀に手をかけていつでも戦えるような体制になるを
そしてダッチはカバに尋ねる。
「生贄だぁ? 何言ってる、お前何者だ……」
カバはニヤリと笑うと両手を広げて、堂々と宣言した。
「俺は悪魔。悪魔の世界からやってきた、悪魔だ!!!! お前達を喰らい、滅ぼすものだ!!」