第51話 『ムーン洞窟の毒』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第51話
『ムーン洞窟の毒』
イタッチはある洞窟にたどり着いた。
「ここがムーン洞窟。隠された財宝があるっていう洞窟だな」
イタッチは洞窟に入る。
無線の先にはダッチとアンの声が聞こえる。
「洞窟に入れたみたいですね」
「ああ、こっちの映像は見えてるか?」
「はい」
イタッチのマントに小型のカメラを装着して、周囲の様子をアン達が警戒する。
「おい、イタッチ。なんで俺が留守番なんだ」
アンからマイクを受け取ったダッチが疑問に思っていることを、イタッチに尋ねる。
「この洞窟には古い言い伝えがあってな。一人じゃないと最深部に辿り着けないんだ」
「言い伝えを信じてるのか?」
「たまにはルールに縛られた方が楽しいだろ」
洞窟を進んでいくと、床が紫色になっている場所を発見する。
イタッチは適当な石ころを開い、紫の床に投げると、床に触れた石は溶けて消えてしまった。
「アン。これはなんだ?」
「猛毒ですね。触れただけで感染して全身が溶けてしまいます。気をつけてください」
独の床はずっと先まで続いており、ジャンプして飛び越えられる距離ではない。
イタッチは折り紙を折ると、フック型のプローブを作った。
そしてそれを両手にはめると、天井に引っ掛けてイタッチは天井に張り付きながら進んでいく。
独の床を突破してイタッチはフックを外して、地面に降りる。
再び洞窟を進むと、今度は火を吹く壁にたどり着いた。
「これは……」
「イタッチさん。マスクを作ってください。かなり濃度の高いガスが出てます。ガス同士が反応して火を吹いてるんです」
イタッチは折り紙でガスマスクを作って、毒ガスの洞窟を進む。
火を避けながら毒ガスの出ている場所を突破して、イタッチはマスクを外した。
再び進み始めると、洞窟の奥へ辿り着いた。
そこには宝箱を背中に背負った10メートル以上ある紫色の狼がおり、イタッチを発見すると唸り声を上げて睨みつけてくる。
「こいつが宝の番犬ってわけか」
狼の吐息は紫色で、口から垂れる唾液が地面に触れると地面が溶ける。
「猛毒を吐くか……。流石はこの洞窟の番犬だ」
イタッチは折り紙で剣を作る。
狼は毛を逆立たせると、紫色の毛を飛ばしてきた。イタッチは横に飛んで毛を避ける。
そして避けた後、毛を見ると、地面に刺さって地面を溶かしていた。
「全身猛毒かよ」
避けられた狼はイタッチに噛みつこうと接近してくる。
ギリギリのところでジャンプして避けたイタッチは、狼の上空を飛びながら宝箱の上に着地した。
上に乗られた狼は暴れるが、イタッチは振り落とされないようにどうにかしがみつく。
宝箱を開けて中を見ると、そこには紫色の宝石があった。
「こいつが宝だな」
お宝を手に入れたイタッチは狼から飛び降りて、出口を目指す。
狼はイタッチを追いかけて、お宝を取り戻そうとしてくるが、洞窟を出ると狼が追うのを諦めて洞窟の奥へと帰っていった。