第38話 『コウモリ』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第38話
『コウモリ』
ガトリングガンを撃ったコウモリは無線で状況を報告する。
「侵入者は排除した。意外とあっけなかったぜ〜」
達成感にコウモリ目から水を垂れ流す。
コウモリはハンカチで目を拭いた後、エレベーターに背を向けて無線の相手のいるところに戻ろうとする。
しかし、
「っ!?」
イタッチとダッチは折り紙で壁を作り、エレベーターの天井に隠れていた。
コウモリが隙を見せると、二人はエレベーターから脱出して武器を持ってコウモリに襲いかかる。
咄嗟のところで気づいたコウモリは、羽を羽ばたかせて空中に飛び上がり二人の攻撃を躱す。
「危ないじゃあないかぁ、あ、また漏れてる……」
攻撃を躱したコウモリの液体が空中に飛び散る。俺達はそれを触れないように少し距離を置いた。
「汚いやつだな……。触りたくない」
ダッチは刀を鞘にしまうと、懐からハンドガンを取り出してそれでコウモリを攻撃する。
コウモリは大きく口を開けると、聞こえない声で何かを発し、弾丸を華麗に避けた。
「なんだ、軌道が読まれた?」
ダッチは全弾撃ち込むが、全てコウモリには命中することなく躱されてしまった。
「どういうことだ……」
戸惑うダッチ。そんなダッチに教えるようにイタッチが呟いた。
「超音波だ。音で弾丸の位置を確認して、アイツは避けてるんだ」
「超音波……。そうか、なら!!」
ダッチは刀を取り出すと横にする。そして振動させるように震わせた。
「音で攻撃するだけだ!!」
ダッチの刀から発せられた音が建物内に響き渡る。ビルは微細だが振動し、ガラスが震える。
「っぐっ!? なんだ、この音は!?」
ダッチの音で方向感覚の狂わされたコウモリは、ふらふらと動き壁にぶつかりながらエレベーターの中に入る。
すると、ガトリングガンでボロボロになっていたエレベーターはコウモリの重さに耐えられず、支えが壊れて下の階へとコウモリを連れて落下していった。
「行くか、イタッチ」
「エレベーターが壊れたからな。最後の階は階段だな」
エレベーターの横にある階段へと向かい、イタッチ達は階段を駆け上る。
登り切ると、立派な扉がありそれを開くと社長室のような場所に辿り着いた。
「遅かったな、イタッチ……」
そこでは地面に横たわるスーツ姿のヤモリと、それを囲むヒョウとサソリがいた。
ヒョウはイタッチ達がたどり着くと、話しかけてくる。
「お前達のおかげで計画は成功した……」
「計画……か。それはそのヤモリに復讐することか?」
ヒョウは言って良いのか確認するために、サソリの顔を見る。
サソリは頷くと、ヒョウに喋らせるのではなく自分で語り出した。
「そう……と言いたいところだが。違う。今回はパンテールと君達に舞台を整えてもらった」