第35話 『正体のデータ』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第35話
『正体のデータ』
「……ああ、バレたのは警察じゃない」
「じゃあ誰に……」
ダッチの疑問にアンが答える。
「前にもイタチさんの正体に気づいて訪問してきた人がいます」
「前にも……」
「私のお父さん、イーギーです」
イーギー。それはアンの父親であり、アンに技術を終えた人物だ。
彼はある組織から助けを求めて、イタッチの情報を手に入れて喫茶店に来たことがあった。
「確かにイーギーなら、イタッチの隠蔽にも気付けるな。なら、イーギーが誰かに情報を売ったってことか?」
ダッチの疑問にイタッチが答えた。
「イーギーはすでにこの世にはいない。それにイーギーが俺達の情報を流すとも思えないしな……」
「はい。お父さんがやったとは思えません。でも、もしかしたらですけど…………」
アンにイタッチとダッチの目線が向けられる。
「お父さんのクラウドに侵入した人物がいるのかもしれません。元国際的なハッカーのクラウドです。そう簡単には入れないはずですが、腕のある実力者なら…………」
「その可能性があるか。アン、そいつを探せるか?」
「まぁ、残ってるのは携帯だけだけど。それくらいなら」
「アンはそいつの捜索と、残ってるデータを削除してくれ」
イタッチはアンに指示を与えた後、今度はダッチの方を向く。
「俺たちはこれをやった犯人を取っちめる」
ダッチにそう告げた。しかし、
「喫茶店の襲撃者と、イーギーの情報を盗んだ奴は別なのか?」
「どうだろうな。だが、襲撃者には心当たりがある。なら、先にそっちを片付けた方がいいだろう」
こうしてイタッチ達は行動を起こした。
アンはダッチの管理する四神の施設で情報収集。イタッチとダッチは喫茶店を襲撃した人物を探す。
「心当たりがあるってどういうことだ?」
「襲撃者はお前の知ってる奴だ。あの冷たい目に身のこなし。忘れる方が難しい」
イタッチ達がたどり着いたのは、そこは都内に聳え立つ一軒のビル。
しかし、ビルの扉は鍵がかけられており、入ることはできない。
「いるんだろ。出てこいよ」
イタッチはビルに向かって叫ぶ。すると、扉の鍵が開き、ゆっくりと扉が開いた。
「入って来いだとよ」
イタッチはダッチを連れてビルの中に入る。イタッチ達が入ると、何も押していないのにエレベーターが動き、イタッチ達のいる階に着くと止まった。
二人はエレベーターに入り、案内されるように地下へと降りる。
地下四階。そこに着くと、扉が開いた。
「待っていたぞ。イタッチ……」
そこにいたのは、ワインを片手にした小柄なヒョウの女性。赤いドレスを見に纏い、脚を組んで部屋の中央の椅子に鎮座していた。
「待っていた……。ずっとずっとだ!!」
冷たい目線でイタッチ達を睨む。