第34話 『爆発事故』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第34話
『爆発事故』
日本にあるアパート。その一室から香ばしい匂いが香る。
「良い焼け具合だ」
花柄のエプロンを付けたダッチがクッキーを焼いていた。
「今日は久しぶりのオフだ。今日はお菓子作りまくるぞ」
ダッチの趣味。それは休日にお菓子作りをすることだった。
出来上がったクッキーをさらに盛り付けて、リビングに持って行くと、椅子に座ってテレビを付けた。
「ん、この辺のニュースだな。爆発事故? ガスでも漏れたか?」
クッキーを咥えてニュースを見ていたダッチだが、そのニュースに映った映像を見て、クッキーを咥えたまま時が止まった。
「……嘘だろ」
そこに映っていたのは見覚えのある喫茶店の映像だった。
「ちょいと失礼……」
ダッチは野次馬を割って進み、喫茶店の前に着くと、喫茶店はロープで封鎖されて立ち入り禁止になっていた。
周囲には警官が集まっており、爆発の原因を調べている。
「あいつら大丈夫なんだろうな…………」
ダッチが心配そうに様子を眺めていると、後ろから肩を叩かれた。
振り向くと太った犬の警官が話しかけてきた。
「お兄さん、ここの常連かな? 少し話を聞かせてくれないかな?」
ここで逃げたり断ったりすれば、不自然だ。警官の動きからもここがイタッチのアジトだとバレていない様子だし、下手に騒ぎを起こしたくない。
「ああ、構わない」
「ならここから出よう。野次馬が多すぎてメモが取れないんでな」
太った警官に案内されてダッチは野次馬の群れから脱する。そして警官はメモ帳とペンを取り出すと、早速質問をしようとするが、手を滑らせてペンを落としてしまった。
ペンは路地の方へと転がっていく。警官とダッチはペンを追いかけて路地に入る。
ペンを拾ったダッチはペンを警官に返して、路地から出ようとしたが、警官に止められた。
「出るな……」
「……誰だお前、警官じゃないな」
警官に呼び止められたダッチは足を止める。止まったダッチに警官は
「ゆっくりこっちを向け」
振り向くように指示をする。
ダッチはゆっくりと振り向く。すると、警官は帽子を脱ぎ、顔の皮を脱いだ。
そこから現れた素顔は……。
「イタッチ…………それにガキも!!」
警官の変装をしていたイタッチとアンだった。太った警官に変装していたのは、イタッチがアンをおんぶしても違和感がないようにするためだ。
「無事だったんだな……」
ホッとするダッチ。しかし、イタッチとアンには後悔があるようで。
「無事とは言い難いがな。俺の店は大惨事だ」
「私のpcが……」
色々と爆発に巻き込まれて無くなってしまったらしい。
しかし、命があって良かった。
「イタッチ。どういうことだ。拠点がバレたのか? それにしては警察は気づいてないらしいが……」
「……ああ、バレたのは警察じゃない」