表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怪盗イタッチ大作戦!!  作者: ピラフドリア
30/208

第30話 『宣戦布告』

怪盗イタッチ大作戦!!




著者:ピラフドリア




第30話

『宣戦布告』







「なぜ、お前が黄金の甲羅を持ってる?」




 イタッチがウンランに尋ねると、ウンランは大きく口を開けてあくびをした。




「ふぁあん、そっか、気になるよな……」




 ウンランはスーツのポケットに手を突っ込む。何か取り出すのかと警戒するイタッチとダッチ。




「そう警戒するな、飴玉だよ、飴……」




 ゆっくりとウンランがポケットから手を出すと、本当に飴玉を握っていた。




「眠い時はこれが効くんだ。スカッとするぜ、食うか?」




 ウンランは飴玉を差し出そうとするが、二人は受け取らない。

 結局ウンランは一人で三つの飴玉を口の中に突っ込む。




「……うぅっん、効くな……。っんでだ、質問について答えたいところだが、俺は人を待ってんだ。待ち合わせしててな、もう来るぜ」




 ウンランがそう言った後、ビルに向かってゴツンゴツンと足音を立てながら誰かが歩いてくる。




 やってきた人物が扉に手をかけて開く。鈍い音を立てて開かれる扉、扉の三分の一が開かれてやってきた人物が見えそうになった時。




「っ!?」




 扉の隙間から銃口が飛び出してきて、イタッチ達に向けて突然発砲してきた。




「早速かよ!?」




 通路は狭く逃げ場はない。




「俺に任せろ!!」




 イタッチは折り紙で盾を作ると、通路にすっぽりと嵌まる大きさの盾を設置して、弾丸を防ぐ。




「無事か!? ダッチ、ウンラン」




「俺は大丈夫だが…………お前の知り合いだろ、なんで突然撃って来るんだ!?」




 ダッチは一緒にイタッチの盾に隠れているウンランに向かって怒鳴る。

 ウンランは耳を押さえて、




「あー、うるさいなー。大声出すなよ。キーンとするだろ、キーンと……。しょうがねーな」




 ウンランは隠れながらポケットの中からもう一人飴玉を取り出した。そして盾の隙間から入り口の方に飴玉を投げる。




 投げられた飴玉は発砲してくる人の近くまで転がると、花火の様に大きな音を出す。




 花火の音に驚いてか、入り口で銃を撃ってきていた奴は、銃口を下げて静かになる。

 静かになったタイミングでウンランは入り口に向かって叫んだ。




「おーう、もう撃つな〜、終わりだ終わり、戦争しにきたわけじゃないんだしな」




 ウンランの声を聞いて扉が開かれて、撃ってきていた存在が姿を現す。

 片手にマシンガンを持ち、青い鱗を纏った龍の女性。気だるそうな表情でこちらを睨みつけてきた。




「あぁ? ボス。なんでやめるんだ?」




「なんでもなにも。今はやる時期じゃないからだ」




 ウンランはスーツについたゴミを叩きながら立ち上がると、




「ダッチ、イタッチ。少し付き合え」




 そう言って建物の奥へと入っていった。イタッチ達はウンランについて行き、部屋に入る。

 部屋に入ると早速ウンランがダッチに向けて何かを投げつける。




 ダッチはそれをうまくキャッチした。




「これは……黄金の甲羅か」




「そいつはやるよ。目的はこれだろ」




 ウンランは部屋の中央にあるソファーに座り、龍の女性は台所からバナナを持って来るとそれを食べながらウンランの後ろでソファーに寄りかかった。




「本当はこれで四神の遺産を探すつもりだった。だが、そんなことしても四神は俺のものにはならない」




「四神がお前のものになる? 何言ってんだ」




 不満そうなダッチ。しかし、ウンランは話を続ける。




「俺達はお前を後継とは認めない。お前を四神から引き下ろし、その座を取り戻す」




「俺を引き下ろすだァ?」




 ダッチがハンドガンを抜いてウンランに向けると、バナナを咥えたまま龍はマシンガンをダッチに向ける。




「落ち着けよ、ダッチ……。今すぐやろうってわけじゃない。いつか、必ずだ。今日はその挨拶ってわけだ」




「俺は今すぐでも構わないぜ」




「……はぁ、だからそれは困るんだって」




 ウンランはテーブルに置いてある無線のボタンを押す。すると、雑音が流れた後、少女の声が聞こえていた。




『イタッチさん、ダッチさん、私、捕まってしまいました。助けてください』




 そこから流れている声はアンの声だ。




「ガキ……」



 ウンランが流している声が本物か確かめるために無線でアンに確認を取ろうとするが、雑音が多くて音声が聞き取れない。




「イタッチ……ガキが」




「あそこがバレるはずはない。偽物だ」




 ダッチは少し焦っている様子だが、イタッチは冷静に答える。

 だが、ウンランはニヤリと笑う。




「嘘かどうかはお前達に任せる。だが、お前達が一旦退くなら、この子供は解放する」




 ダッチは銃口を下ろす。それを確認して龍もマシンガンを下ろした。




「……ッチ。今回は退いてやる。だが、四神はやるつもりはない。いつでも受けて立つ」




 睨みつけるダッチにウンランは笑顔で返した。




「それはどうも。ではお楽しみに……」




 ウンラン達と分かれて、ビルを出るともう一度無線を繋いでみる。すると、




『あ、やっと繋がりましたね!』




 無線の向こうからアンの声が聞こえていた。




「アン無事か!!」




 無線に向けて大声で叫ぶダッチ。大きな声で驚いたアンは、戸惑いながら答える。




「それはこっちの台詞ですよ。無線を妨害されて、こっちから連絡を取ろうとしてもなかなかうまくいかなかったんですよ。……てか、今名前……」




「捕まったりはしてないのか!?」




「私が捕まる? イタッチさんの隠し部屋にいるんですよ。見つかるわけないじゃないですか〜!」




 ホッとした様子のダッチ。しかし、アンは捕まっていなかったとすると、ウンランの無線の先にいたのは誰だったのか。




 イタッチは無線でアンに伝える。




「事情は戻ってから伝える。厄介なことになりそうだ」







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ