第29話 『再来? 四神』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第29話
『再来? 四神』
大怪盗イタッチ。世界一の怪盗であり、多くのお宝を盗み出してきた。
「よぉ、イタッチ……」
イタッチとアンが喫茶店の二階で寛いでいると、扉を開けてダッチがやってくる。
「ダッチさん!!」
「ダッチ、どうした? 今日は仕事はないぞ」
ダッチは二人のいる中央のちゃぶ台に移動して一緒に座る。
「仕事がない時だってたまに来るだろ……。ま、今日は仕事を持ってきたんだがな」
「ダッチさんがお仕事を持ってきたんですか?」
「そう言ってるだろ」
ダッチは持ってバックの中から写真を取り出して、テーブルの中央に置く。
「こいつを知ってるか?」
写真には黄金に輝く甲羅が写っている。
「こいつは……。黄金の甲羅か。だが、少し違う様だな」
イタッチ達が手に入れた黄金の甲羅とは見た目が違い、背中に穴は空いていないし、模様が描かれている。
「ああ、これは黄金の甲羅を模倣して作られたレプリカだ」
「どうしてそんなものが?」
「さぁな。四神の遺産を横取りするためか。だとしたら肝心のものが足りないわけだがな」
四神の遺産が隠されている場所。それを知るためにはダッチの模様が必要だ。
それに穴が無ければ、模様もおかしい。
「つまりこいつを調べて欲しいってわけか?」
「そういうことだ。偽物だとしても放っておくわけにもいかないからな」
「そういうのは四神でやれよ」
「四神で対応しても良いが、本物の黄金が使われてるなら、欲しいだ?」
ダッチの言葉にイタッチはニヤリと笑う。
「そりゃーそうだな」
二人の話を聞きながらパソコンを操作していたアンが二人に画面を向ける。
「その偽物の在り方が分かりましたよ」
「早いな。ガキ、流石だ」
「ガキじゃないです。アンです!!」
アンの情報をもとにイタッチとダッチはあるビルにやってきた。
「ここにあるんだな、アン」
『はい。情報を操作して輸送を隠蔽し、防犯カメラにも映らない様にしてるみたいですけど、私にかかれば余裕です』
「これから突入する。追加の情報があれば連絡してくれ」
無線を切ると早速二人は入り口に向かう。堂々と正面から二人は入る。
扉を開けると、狭い廊下に腕を組んで若い虎がスーツを着て待っていた。
「ん、早すぎんだろ……」
虎はイタッチ達を静かに驚いた。ダッチはその虎に見覚えがあったらしく、
「お前、ウンランか!?」
「久しぶりだな。ダッチ」
ウンランはニヤリと笑うと二人と向き合う。
「お前がイタッチか。俺のダッチと仲良くしてくれてるみたいだな」
「四神の関係者か?」
「おっと、そうだな。自己紹介をしよう」
虎はイタッチに軽く頭を下げる。
「俺はウンラン。四神白虎の実の息子だ」
自己紹介を終えたウンランはイタッチの両手を掴み、強く握手をした。
「ま、よろしく頼むよ、イタッチ」
しかし、手を握られたイタッチは適当に握手をしてさっさと離す。
「あのジジイに息子がいたとはな。だが、その息子がなぜ、黄金の甲羅を持っている!!」
「…………そうか、気になるよな」