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怪盗イタッチ大作戦!!  作者: ピラフドリア
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第28話 『神秘の雫に御用心』

怪盗イタッチ大作戦!!




著者:ピラフドリア




第28話

『神秘の雫に御用心』





 世界を股にかける大泥棒イタッチ。今日もお宝を求めて世界中を駆け回る。今回狙うお宝はどんなお宝なのか。







「いらっしゃいませ〜」




 店の扉が開き、鈴の音がなりながら客が中に入ってくる。




「ほっほっほ、つい観ても可愛いのー、アンちゃんは……」




「いや〜それほどでも〜」




 やってきた常連の客に褒められて照れるアン。




「キリンの爺さん。いつものか?」




「いつものじゃ」




 イタチが聞くと客は頷きながら席に座った。




 イタチがコーヒーを準備している間、カウンター席でくつろぐ。




「アンちゃんは仕事に慣れてきたかのう?」




「はい、イタチさんのお陰でもう完璧です!」




「それは良いのう。……あぁ、アンちゃん、お古だけどこれをあげるよ」




 客は紙袋をアンに渡す。




「なんですか? これ?」




「孫が小さい頃使ってた服じゃよ。いつも同じ服を着てるじゃろ、女の子はオシャレせんとのう」




「ありがとうございます」




 客からの思わぬプレゼントを貰ったアンは嬉しそうに紙袋を抱きしめる。




「お待たせ。ケニアです」




 イタチは客にコーヒーを出した後、礼を伝える。




「爺さんありがとな。うちのバイトに」




「良いってことよ。どうせ捨てるところだったんだ」




 紙袋を抱きしめて回転して喜ぶアン。二人はそんなアンを微笑ましく見る。




「イタチさん、着てみていいですか?」




「仕事が終わったらな」











 南極にある海底洞窟。四神の潜水艦で海底に潜っていたイタッチ達は、洞窟に入り込んだ後、洞窟に水のない空洞を発見して浮上した。




 外の状態を確認した後、潜水艦から外に出る。




「ここが氷の洞窟だな」




 四神の潜水艦まで使い、南極の海に潜った理由。それはここにあるお宝を狙ってだ。




 潜水艦から降りるイタッチとダッチ。そんな二人をアンは潜水艦の入り口から顔だけ出して覗く。




「私はここで待ってますね」




 アンが伝えると二人は振り向く。 



「ガキは大人しく留守番だ」




「アン。見張りと無線での援護を頼んだぞ」




 アンに見送られながら二人は洞窟の奥へと向かう。




 今回狙うお宝は神秘の雫。この南極の洞窟にあると言われているお宝だ。




 しばらく進んでいた二人だが、洞窟の途中でイタッチが足を止める。




「どうした? イタッチ、何かあったか?」




「いや、違う……。何かいるぞ」




 洞窟の奥から猛獣の唸り声が聞こえてくる。この先に何かいる様だ。




「警戒しながら進むぞ」




 そのまま進み、ドーム状のひらけたところにたどり着いた。

 そこには大量の骨の山とその隣でこちらを睨みつける猛獣の姿。




「なんだこいつ……。白い蛇!?」




 真っ白な身体を持つ、巨大な蛇。横幅だけでも二メートル以上あり、イタッチ達どころか、大きめの動物達も簡単に丸呑みしてしてしまうほどの大きさだ。




「こいつは怪物か……。ここを守ってるみたいだな」




 蛇はニョロニョロと身体をうねらせながら動き、舌を出しながらイタッチ達を威嚇する。




 ダッチは刀を抜くと、蛇に刃を向けた。




「倒さなきゃ進めないってんなら、やるっきゃねーな」




 蛇はイタッチ達に向かって突進してくる。二人は左右に分かれて、突進を避けた。




「ダッチ無事か!!」




「俺は無事だ……っ!?」




 避けたダッチを蛇は追って顔を動かす。蛇は大きく口を開けてダッチを飲み込もうとする。




「食われるかよ!」




 ダッチは刀を横にすると、そして刀を小刻みに震わせる。




「音の攻撃を喰らえ」




 ダッチは音を発生させようとするが、蛇はそれに気づいたのは直角に曲がりダッチから離れる。




「なに!?」




 蛇は大きく方向転換して垂直の壁を登り始める。




 壁を登り蛇は天井を進む。天井にはりつきながら進んだ蛇は、ダッチの真上に来ると大きく口を開けて落下してきた。




「マジかよっ!?」




 ダッチは刀をしまって落下してくる蛇から逃げる。だが、蛇の大きさだ。落下してくる蛇から逃げられるか……!?




「伏せろ、ダッチ!!」




 イタッチの叫び声。ダッチの正面ではイタッチが折り紙で作った爆弾の山を蛇に投げつけた。




 蛇にぶつかると、爆発して蛇は大きく軌道がずれる。それにより落下位置が大きく変わり、ダッチに蛇が落ちてくることはなかった。




「イタッチ、助かった」




「良いってことよ。これでこの蛇もしばらくは動けないだろう。先を急ぐぞ」




 蛇を撃破したイタッチ達は先に進む。洞窟の最深部へと到着すると、ガラスの様な透き通った氷が、柱となっている場所にたどり着く。

 しかも柱の形だけでなく、鳥や犬などの造形物の形になっている氷もある。




「これが神秘の雫か?」




 ダッチはその光景に目を奪われる。イタッチは




「いや、違うな。この奥にある」




 お宝のように美しい光景。そんな洞窟を進んでいくと、




「あった、これだな」




 一番奥にある氷の柱。そこにその柱の中に一際輝く結晶が埋められていた。




「取り出すぞ」




「お、おう」




 イタッチの指示のもと、ダッチと協力しながら氷の柱に穴を開けて取り出す。

 柱の一本でも崩れれば、洞窟が崩壊する可能性もある。柱を壊さない様に慎重に作業を進め。

 ついにお宝を手に入れた。




 白い宝石。雪の様に白く、鏡の様に光を反射する。




「これが神秘の雫か。綺麗だな」




 ダッチはお宝を見て思わず独り言を呟く。そんなダッチの言葉を聞いてイタッチはクスクスと笑った。




「お前からそんな言葉が出るとはな」




「俺をなんだと思ってんだよ」




 お宝を入手した二人は洞窟の入り口に戻り、アンと合流すると洞窟を脱出した。







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