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怪盗イタッチ大作戦!!  作者: ピラフドリア
204/208

第204話 『懐かしい』

怪盗イタッチ大作戦!!




著者:ピラフドリア




第204話

『懐かしい』





 ダッチがウンランに刀を投げ渡すと、ウンランはキャッチして二刀流で構え直す。それを見てダッチはニヤリと笑った。




「なんでだろうな、分からない。分からないが、懐かしいよ」




 そして笑ったダッチはウンランにそう伝える。すると、構えたウンランもふふと頬を上げた。




「ああ、俺もだ。懐かしい、こんなことはなかったはずなんだけどね。アンタとは大昔から戦っていたみたいだ」




 ダッチと刀を構え直し、武器を持った二人はお互いへと走り出した。刀を振り上げ、お互いを切りつけ合う。




 二人の攻防が続き、その間にイタッチとロボスの戦闘は終了していた。




 二人が武器をぶつけ合い、弾かれあった時。

 雨が降り出した。二人の戦いを激化させるように降り出した雨は、森に霧を発生させる。




 それでも二人の戦闘は続く。

 地面が濡れて足場が悪くなった。霧が出て視界が悪くなった。しかし、何が起ころうとも、二人の戦闘は休まることはない。




 いや、逆に二人の武器をフルスピードは早く、そして強くなっていった。

 戦闘の中で成長し、壁を越えた二人の戦闘は雨にも負けなかった。




 イタッチに敗北したロボスは、拘束された状態で二人の戦闘を見守っていた。そして二人の成長スピードに胸を躍らせる。




「なんて成長だ。これだ、これこそ俺の求めていたもの……ああ、なんて良いんだ」




 興奮するロボスの近くでは、木の下で雨宿りするイタッチが、二人の戦闘を観戦する。




「戦いの中で成長する……か。二人の実力が均衡しているからこそ起こる現象か……。もう、どちらが勝ってもおかしくないな」




 イタッチは腕を組む。




 もう。イタッチがそう言葉にしたのは、戦闘が始まる前の段階で、勝者に目星がついていたからだ。

 何が起こるか分からない。それこそが戦闘。だが、ダッチには大きく劣る点があった。




「戦いの中で自分を取り戻したか」




 かつてイタッチとダッチが出会った時。彼は四神を奪い取るということに執着していた。

 そして事件が終わり、ダッチが四神のボスとなってからは、伝統を守ることを第一とした。




「だが、どれもお前じゃない。ダッチ、これからはお前の時代だ、お前のやり方を貫け……」







 ダッチとウンランの刀が弾かれ合い、戦闘から数分の時が経った。

 雨に濡れた二人の毛は、水分で重さを持ち始めた頃。




「…………ダッチ。……お前が本当に約束を忘れていたとしても、運命はこうやって俺達を巡り会わさせた。その運命に俺は感謝しよう」




 ウンランは雨の中、ニヤリと頬を上げた。




「さぁ、約束の時だ」








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