第203話 『約束の戦い』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第203話
『約束の戦い』
ウンランの止血を待っている間、ダッチはウンランに尋ねる。
「約束ってなんだ……」
戦闘中、ウンランが口にした言葉。しかし、ダッチにはその約束がなんだったのか、記憶にない。
ダッチの言葉にウンランは辛そうな顔をした。そして悲しく呟く。
「本当に……忘れてしまったのか」
ウンランは血が止まると、ハンカチを捨てて刀を構え直す。二本の刀をクロスさせて前に構える。そしてまるでハサミのようになった刀をダッチに向けた。
「ならば、思い出させよう……俺とお前…………そして四神の約束を……ッ!!」
ウンランは真っ直ぐダッチに向かって走り出した。
──約束、それは幼い頃の──
ウンランはクロスさせた刀でダッチを挟み切ろうとする。ダッチはウンランの刀が閉じる前にジャンプしてウンランの頭を飛び越える。
頭上を飛ぶダッチ。着地したダッチは振り向きながらウンランに刀を振った。
──遊園地での記憶──
ダッチの刀はウンランの首を狙うが、ウンランも振り向き、二本の刀をでダッチの刀を受け止めた。
クロスさせていた刀だが、クロスは辞めて片方の刀でダッチの刀を押さえながら、もう片方でダッチを突き刺そうとする。
──二人の少年の出会い──
ウンランの刀がダッチの片目を突き刺そうとした。しかし、ダッチは首を傾けることでウンランの刀を避ける。
そして蹴りでウンランの片足を蹴った。
攻撃をして体重が傾いていたところに、蹴りを入れられたウンランはバランスを崩して前へ倒れそうになる。
──俺はお前を待っていた──
バランスを崩したウンラン。そんなウンランを狙い、ダッチは刀を振り上げる。下から上へと刃を動かし、ウンランを切り付けようとした。
だが、ウンランは右の刀を地面に突き刺して、左へ身体を倒す。そうすることでダッチの刀を避けて、左へ倒れることができた。
──いつか必ず、会う日が来る──
左へ倒れたウンランは少し転がってからすぐに立ち上がる。しかし、右に持っていた刀を突き刺した場所に置いてきてしまい、刀はダッチの前で残っている。
刀を振り終えたダッチはウンランが刀を残したことに気づくと、刀を手に取り地面から引き抜いた。
ウンランはダッチが二本の刀で戦うのかと警戒するが、ダッチは刀をウンランへ返した。
──その時は約束を果たす時──
ウンランに刀が投げ返される。ダッチから刀が戻ってきたことに動揺の顔を見せるウンランだが、そんなウンランの姿を見てダッチは笑った。
「…………約束………………については思い出せてないが、なんだか懐かしい気がするよ」