第201話 『二人の戦いを守れ』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第201話
『二人の戦いを守れ』
ロボスとの戦闘を続けていたイタッチ。ロボスから一旦距離を取ったイタッチは折り紙を折ると、あるものを作った。
そして、
「これでお前を一撃で倒す」
そう言ってイタッチがロボスに向けたのは、折り紙で作った赤いマント。マントを風で靡かせながら、イタッチはニヤリと笑う。
そんなイタッチの姿にロボスは首を傾げる。
「マントで俺を倒すかい……。どういうことだか、理解はできないが警戒させてもらうよ」
ロボスはイタッチが作ったマントに疑問を持ちながらも、両腕の刃にプラスさせて、靴に仕込んでいたナイフのスイッチを押して、靴の先からナイフを飛び出させる。
両手両足に仕込んだ武器。さらにはまだ他にも武器を隠し持っているのだろう。ロボスはそれらを駆使してイタッチを迎え打つつもりだ。
「さぁ、どこからでも構わないよ」
準備を終えたロボスが待っている中、イタッチはマントを両手で持つと目の前で靡かせる。そしてロボスから自分の姿を隠すようにして、マントを広げた。
「姿を隠して……何を…………」
ロボスが見守る中、イタッチはマントから手を離す。そしてかろうじて見えていたイタッチの手すらマントの裏に隠れてしまった。
マントから手を離したことで、マントはヒラヒラと落下する。
本来ならマントの裏にいたイタッチの姿が見えるはずなのだが──
「いないッ!?」
マントが地面に落下したが、イタッチの姿はなかった。イタッチが完全に姿を消してロボスは辺りを警戒する。
しかし、イタッチはどこへ消えたのか。マントの近くには隠れるようなものはない。穴が掘られた形跡もない。どこへ消えてしまった。
キョロキョロと探すロボス。そしてロボスはかろうじて視界の端にあるものを捉えた。それは風。
線のようなものを一瞬だけ描いて動く風の姿。そしてその線の中にチラッと赤いものが見えた。
辺りは森で緑しかない。だからこそ気づくことができた。異質な赤い存在に。
「なんて……なんてスピードだ!?」
肉眼で捉えられない速度。そんな高速で移動するイタッチが、ロボスの周囲をくるくると走っていた。
イタッチの存在に気づいたロボスは両足を広げ、姿勢を低くして構える。いつ、どこから攻められても対応できるように──。
「……ッ!!」
次の瞬間、地面に落下していたマントが姿を消した。イタッチがマントを拾ったのだろう。ロボスがそれを見て脳へその情報が伝達されると同時。
イタッチがそのスピードでマントを振ってロボスへ巻きつけた。超高速の出来事、ロボスは自分が巻かれていることを認識することすらできず、気づいたのは自分が繭のようになってからだった。
「な……」
ロボスをマントで捕らえたイタッチは、ロボスを近くの木に引っ掛ける。赤いマントで包まれたロボスは、蛹のように木の下に捕まった。
「さ、終わったぜ」
「この俺が……しかし、この程度なら抜け出せる」
ロボスを拘束しているのはマントだ。それなら身体に仕込んだ武器で切断できる。しかし、ロボスは違和感に気づいた。
そしてイタッチを見ると、イタッチの背後にはロボスが装備していた全装備が無造作に置かれていた。
「俺は怪盗。全部盗ませてもらったぜ」