第199話 『ウンラン』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第199話
『ウンラン』
ダッチとイタッチは二人である場所を目指していた。
高速道路で車を走らせ、数時間。辿り着いたのは黄山。辺り一面を緑の植物と露出した岩盤が覆う。
「ここにウンランがいるのか」
「そうらしい」
しばらく歩き、観光ルートから外れた山へと入る。そして数分後ついに、
「待っていたぞ。ダッチ」
イタッチとダッチが辿り着いたのは森の奥。そこにウンランが一人で立っていた。
「……俺達が来ることを知って、ここで待ってたのか?」
ダッチが尋ねるとウンランは頷く。
「ロンがやられた時点でスパイがバレるのは予測できた。ここなら思う存分、戦えるからな」
ウンランは両腰につけた刀を抜き、二刀流で構えた。
「四神を潰すためにはダッチ。お前を倒すのが一番だ。一対一の決闘、受けるよな」
ウンランは構えてダッチに尋ねる。ダッチはニヤリと笑うと、腰から刀を抜いた。そして鞘を抜いて構える。
「当然だ。……イタッチ、そういうことだ、そこにいるやつは任せて良いか?」
「ああ、当然だ」
イタッチは折り紙で手裏剣を作ると、木の影に隠れている人物に手裏剣を投げる。その人物は投げられてきた手裏剣を、片手でキャッチすると、地面に手裏剣を投げ捨てる。
「気づいていたか……」
木の影から出てきたのは、カボチャを被った人物。ロボスだ。ロボスは背中に背負っている長剣を抜き、刀を振り上げて決闘を始めようとしている二人に攻撃しようとする。
しかし、そんなロボスの前にイタッチが入り込んでロボスの剣を、折り紙の剣で止めた。
「さぁ、この前は逃げられたが、今回は倒すぜ」
「怪盗君か……。あの時は敵わなかったが、俺は成長している。次は必ず君を倒して、そこに二人も倒してみせよう」
ダッチとウンランの戦いを守るように、イタッチはロボスの進行方向を塞いで構える。隙があれば、二人の決闘の邪魔をする予定だったロボスだが、イタッチが邪魔で攻撃できそうにない。
「まずは君を倒させてもらうよ。怪盗君」
「そう言ってるだろ」
長剣を振り回すロボス。その長剣を折り紙の剣でイタッチは受け止めた。
長い剣であるロボスの武器の方が威力が高い。しかし、イタッチはそれを技量で受け止めてみせる。
「怪盗君、僕は成長しているんだよ……そう言ったよね」
剣を受け止めたイタッチ。受け止められたというのに、ロボスはニヤリと笑う。そして剣に取り付けられたあるボタンを押した。
「くっ!?」
すると、剣先が大爆発。イタッチを巻き込んだ爆発をした。
「剣の先に爆弾を仕込んでおいた。どうだい、痛いかい?」