第198話 『最後の戦いへ』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第198話
『最後の戦いへ』
「そうか、君達がダッチを支えるか。俺達にはその覚悟がなかった、だからここで終わったのか」
拘束されたカンガルーは悲しそうに呟く。
カマキリや他の幹部達はダッチに不満を持ちながらも、支えていこうという覚悟があった。
頼れないダッチであっても、かつての上司が選んだ人物だ。それを全力で支える。それが残された自分たちの使命だと。
しかし、カンガルー達はその覚悟がなかった。ダッチを裏切り、信四神会に情報を流していた。
拘束された裏切り者達を他の部屋へと連行する。信四神会との件が収まるまではどこかで隔離しておく必要があった。
この者達の処分は事件が片付いてからだ。
連れて行かれるカンガルーは最後にダッチに聞く。
「なんで、俺達が怪しいと分かったんだ」
その回答にダッチは隣に目線を向けた。そこにはスプリンクラーで濡れたことで嫌そうな顔をしているイタッチの姿があった。
「そうか、取引の書類を盗んだのか。遊びでやってるだけだと思っていたが、意外と役に立ってるんですね」
カンガルーはそれだけ言い残して連れて行かれた。
裏切り者がいなくなったが、幹部の数が半分になってしまった。
「これからどうするんだ? ダッチ」
幹部の減少はそのまま兵力の減少につながる。これから信四神会との戦いが長引けば、不利になるのは四神の方だ。
「まだ裏切り者が捕まったことは向こうに知られていないからな。こっちから仕掛ける」
「仕掛けるって言ったってどうするんだ? 奴らの居場所はわかるのか? 前みたいに偽の情報を流されるかもしれないんだぞ」
カマキリはダッチの作戦に反論する。しかし、ダッチは後ろでパソコンを操作していたアンへ目線を向けた。
「その偽の情報を流してきたやつはどうなった?」
ダッチがアンに尋ねるとニヤリと笑う。
「少し苦戦はしましたが、私の敵じゃなかったですね。私のパソコンに入り込んだ仕返しをしてやりましたよ、今頃、その方のアパートには大量のピザが届いているはずです」
「ピザ!?」
アンの言葉に驚く幹部達。そんな幹部達にダッチは説明を追加する。
「偽の情報を流してたのは信四神会の幹部の一人だ。システムに強い幹部が一人いたみたいで、アンのパソコンに入り込んできていた」
「ま、私にとっては楽勝な相手でしたけどね!!」
ダッチは腰につけた刀を手に取り、皆の前で鞘から刀を抜いた。
「これでウンランの本当の居場所が分かるってこった。今回こそ決着をつけてやる。覚悟するんだな、ウンラン……」