第197話 『カンガルー』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第197話
『カンガルー』
カンガルーがダッチに渡そうとしていた紙袋を投げると、その紙袋は大爆発を起こす。部屋の半分が焼き焦げるほどの爆発。
部屋の天井にあるスプリンクラーが音を出しながら、水を噴射する。
部屋で雨が降るような状況の中、カマキリはカンガルーを取り押さえていた。
「爆弾がお菓子だ? 何考えてるんだお前!!」
カンガルーを押さえて動きを封じ、カマキリは爆発した紙袋について尋ねる。紙袋に入っていたのはお菓子ではなく爆弾だった。
咄嗟の判断で投げたことで、被害を最小限に抑えることができた。
「どういうことだ、何があった?」
他の幹部達も戻ってきて部屋の中はざわめき出す。そんな中、ダッチは腕を組み椅子に座った。
「騒ぐな……」
ダッチは静かに皆に静かにするように指示を出す。それを聞き、皆口を塞いで大人しくなった。
「よくやってくれた、カマキリ。お前のおかげで事態を最小限で抑えることができた」
「ッチ、何言うんだよ……アンタの命令だろ、こいつを警戒しとけって」
ダッチとカマキリの会話に幹部達がざわめき出す。
「お前だからこそ防げたんだ。そして騒ぎをわざとデカくすることで、犯人を現場に戻らせる」
スプリンクラーが止まり、火が止まった部屋。そんな部屋に武装した集団が突入してくる。
そして戻ってきた幹部の数名を拘束した。
「まさか、こんなに裏切り者がいたのはな」
拘束された幹部は3人。半分近くの幹部が裏切っていたことになる。
そして突入してきた武装集団はカマキリの部下だ。彼らはカマキリの取り押さえているカンガルーも手錠で拘束した。
拘束された裏切り者達。そんな者達の前にカマキリが立った。
「この裏切り者がァァァ、なぜ、情報を流した、なぜ、裏切ったァァァ!!」
怒鳴るように怒りをぶつけるカマキリ。そんなカマキリにカンガルーは下を向いて答えた。
「そんなの決まっている……四神はここにはない。我々はそう判断した、だから信四神会についた」
「四神がここにないだと!?」
「我々はかつての四人に惹かれて組織を後押ししてきた。だが、ダッチ様……いや、ダッチ。君では我々の理想に届かない」
座った状態で話を聞くダッチ。裏切り者達は会議の間、ダッチのことを擁護していた幹部達だ。
カンガルーは顔を上げると、カマキリの顔を見る。
「君もそう思った、なら、今からでも遅くない。我々と一緒に信四神会へ行こう。ダッチでは四神は終わる。俺達が……」
そこまで言ったカンガルーだが、他の幹部やカマキリの顔を見て言葉を止めた。
「……来る気は、なさそうだね」
そしてこれが答えだというように、カマキリが口を開く。
「俺たちもダッチにはうんざりしている。だが、だからこそ俺たちが支えてくんだ、今までもそうだった、四人の幹部はいつもバラバラ、それをまとめてきたのは仲間の結束があったからだ」