第196話 『それを成し遂げる』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第196話
『それを成し遂げる』
「俺はその話をこのレストランで聞いた。親父達の時代の話だ、何十年前なのかはわからない、だが、俺は親父達のやり残したことをやり遂げる。そう決めてるんだ」
宣言してみせるダッチ。そんなダッチの姿にイタッチとアンは頷いた。
「なら、信四神会なんかには負けられないな」
「ですね! その人の帰る場所はダッチさんが守らないとです!!」
二人の言葉を聞き、ダッチはニヤリと笑った。
「ああ、必ず四神は俺が守るさ」
食事を終えたイタッチ達はレストランを出ると、ダッチはイタッチにある話を持ちかける。
「なぁ、イタッチ。お前に頼があるんだ」
「なんだ?」
「怪盗であるお前だからできる仕事さ」
翌日、四神の幹部が集められ、また会議が始まった。ダッチの作戦が失敗したことの報告はすでに受けているのか、皆ソワソワしている。
ダッチへの期待していたものは裏切られたような気持ちになっていたり、元から期待していなかった者。またはダッチを心配している者などそれぞれだ。
そんな中、ダッチは皆の前に立つと、机を叩いた。
「今回はお前達に重要な知らせがある」
ダッチがそう言うと、カマキリがつまらなそうに手を上げた。
「あんたが失敗したから腹でも切るのか?」
ふざけた態度のカマキリ。そんなカマキリにカンガルーが怒る。
「何を言うか!! ダッチ様に対してその態度はなんだ!!」
怒鳴ってカマキリを叱るカンガルー。カンガルーに怒られ、カマキリは不機嫌そうに腕を組んで座り直した。
カンガルーは頭を下げてダッチに謝る。
「申し訳ございません。ダッチ様」
「いい、それよりも会議を始めるぞ」
カンガルーが止めてくれたこともあり、順調に会議が進み、次の作戦が決まった。
そしてそれぞれが席を立ち、帰路に着く中。カンガルーはテーブルの下から紙袋を取り出す。
「ダッチ様、あなたに渡したいものがございます」
そう言って、カンガルーはダッチに近づいてくる。笑顔で紙袋を前に出し、その中身を渡そうと……。
そんなカンガルーの後ろから鎌を伸ばし、カマキリがカンガルーを止めた。
「そこまでだ。裏切り者……」
カマキリは後ろから鎌を伸ばし、カンガルーの首に刃に当てる。冷たい鎌が首に当たり、カンガルーは身体をぷるっと震わせた。
「なんのつもりかな……私はダッチ様にお菓子でも差し上げようと……」
カンガルーはそう説明するが、カマキリはカンガルーを押して紙袋を奪い取った。
「こいつはぁ!?」
中身を見て目を丸くしたカマキリは大声で叫ぶ。
「みんな、離れろぉぉ!!」
カマキリは叫んだ後、紙袋ごと中身を誰もいない部屋の隅に向けて投げた。そして次の瞬間、紙袋は爆発した。