第194話 『休息の夜』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第194話
『休息の夜』
作戦は失敗に終わったが、翌日の作戦会議に向けてイタッチ達は休むことにした。
「流石にお腹も空きましたね〜」
アンがホテルにあるメニュ表を開きながら、何か注文しようとしている。
作戦を行うために夜ご飯の時間が遅れた。三人ともお腹は空いていたが、緊張からか、そのことを忘れていた。
しかし、時間が経ってきたことでお腹の空きに気がついた。
「そうだな。じゃあ、飯でも食うか」
ダッチは立ち上がると、アンの持つメニュー表を奪い取る。
「あ!!」
メニュー表を奪われ、アンはダッチから取り返そうとするが、立ち上がっているダッチの身長は高くメニュー表に手が届かない。
どうにかジャンプして取ろうとするが、それでも取れずぴょんぴょんと跳ねていた。
「ん〜、良いのないなァ」
しかし、メニュ表を持っているダッチは、そのメニューに不満がある様子。
「どっか食べに行くか」
そのメニュ内で満足するものがなかったダッチはそう提案した。そして持っていたメニュー表を落とす。
メニュー表が落下すると、アンの頭に当たってから床へ落ちた。
「痛っ!? ちょっと、ダッチさん!!」
メニュー表が頭にぶつかり、頭を抑えて痛がるアン。そんなアンを無視してダッチは携帯を取り出してある場所へ連絡を取る。
「ああ、そうだ…………それで頼む」
連絡を終えたダッチは携帯をしまうと、
「これから車が来る。外に食いに行くか」
ホテルの入り口で待っていると、真っ黒な高級車がやってくる。中にはサングラスをかけたカエルが乗っており、車から降りてダッチにお辞儀をした。
「ダッチ様。こちらがご用意した車です」
「ああ、サンキューな」
カエルに運転席の扉を開けてもらい、ダッチは運転席へ座る。その後を追うようにイタッチとアンも車へ乗り込んだ。
「では、皆様お気をつけて……」
カエルがお辞儀する中、ダッチは車を発進させた。
夜の街を車で駆ける。星明かりよりも輝く街のライトが、闇すらも照らしている。
「どこに行くんだ? ダッチ」
後ろに座っていたイタッチは運転しているダッチに尋ねる。
「そうだなぁ、俺の思い出の店にでも連れていくよ」
「ダッチさんの思い出の店ですか!! それは楽しみです!!」
話を聞いていたアンはイタッチの隣で、ワクワクしながら身体を揺らす。
ダッチは二人を連れながら、その思い出を思い出していた。
それは古い昔の記憶。まだ四神が四人の幹部によって組織されていた時代の話だ。