第192話 『罠』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第192話
『罠』
ホテルを脱出し、バイクで帰宅したイタッチとダッチはアンのいるホテルへ戻った。
部屋に入ると、お菓子の袋を広げてアンは頭を掻きむしりながらパソコンを操作している。
「帰ったぞ」
脱いだ靴を几帳面に並べダッチが声をかけると、声を聞いてやっと気付いたのか、アンが振り向いた。
「お二人ともおかえりです!」
「どうだ? 原因は分かったか?」
ダッチがアンが操作するパソコンの画面を覗き込むと、アンは画面をずらして見えないようにした。
「原因は分かりました。しかし、厄介です……」
アンは袋の中に入っているお菓子をボリボリを貪り始める。かなりイラついている様子で、お菓子を食べて発散している様子。
そんなアンの姿にイタッチは首を傾げる。
「何があった。お前がそこまで悩むなんて」
「私のパソコンに侵入してきている人がいるんです。それでウンランの居場所を偽装した。……追い出そうとしてるんですけど、なかなか追い出せなくってっ!! あぁぁぁっ!?」
珍しく取り乱している様子。しかし、アンのパソコンに侵入してここまで苦戦させる。そんなことができる人物がいるとは。
イタッチは部屋にある冷蔵庫を開くと中にあるものを確認する。
「ダッチ、なんか飲むか?」
「あー、じゃあ、牛乳をくれ」
「おう」
瓶に入れられた牛乳を見つけ、イタッチはダッチに投げ渡す。その後自分用にもペットボトルのお茶を取り出して、テーブルの前に座った。
「しかし、うまくやられたな……」
イタッチはお茶を飲みながら奇襲を仕掛けた時のことを振り返る。
奇襲の作戦を知らせていたのは、ここにいるメンバーと四神の幹部のみ。しかし、どこから情報が漏れたのか、ウンランはホテルにおらず、いたのはロボスとロンだけだった。
口を真っ白にしたダッチがあぐらをかいて座り込む。
「あぁ、あれば俺達の奇襲を見越しての待ち伏せだった。ロボスとロンというカードで奇襲を仕掛けた俺達を罠にはめた」
奇襲ということもあり、最低限の戦力で攻め込んだ。それが仇となり、下手をすればあのままやられているところだった。
それにアンがカメラで目撃していたウンランの姿。あれはウンランの仲間がアンのパソコンを操作して、偽物の映像を見せていたのだろう。
今回は完全にやられてしまったという感じだ。
ダッチは空になった瓶をテーブルに置く。
「まぁ、良かったのはロボスは途中で逃亡。ロンは撃破できた点か」
イタッチとの戦闘中にロボスは途中。ロンはダッチが撃破できた。それで無事に罠から逃げることができた。