第189話 『ヒットマン』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第189話
『ヒットマン』
イタッチが飛ばした釣り糸をあっさりと避けたロボス。しかし、一度避けられただけ、イタッチは釣竿を動かし、糸を戻すと再びロボスを針で引っ掛けようと釣竿を動かす。
しかし、またしてもロボスは横に移動して避けてしまった。
足は一歩しか動いていない。しかし、上半身は上下して動くことなく、横に移動するだけ。足元を見ていなければ、床が移動してロボスが横に移動したように感じる避け方だ。
五回ほど避けられ、イタッチは釣竿の形を変える。折られていた部分を戻し、折り目のついた赤い紙へと戻した。
「もう終わりかい? 怪盗君……」
「そうだな。もう終わってるよ」
「……ん?」
折り目のついた折り紙で次に作ったのは、ハトの大群。イタッチが手を離すと、赤い鳩の大群はロボスに向かって飛び始めた。
「鳩の群れ。面白いね、そんなものも作れるんだね」
ロボスは指で銃の形を作ると、向かってくる鳩の大群に向けて
「バンバンバン!!」
と、指で銃を撃つフリをした。しかし、指であり、銃は持っていない。そのはずなのに撃たれたように鳩が次々と撃ち落とされていく。
だが、鳩の群れの数は多く。数匹撃ったところでは意味はなく、ロボスを鳩の群れが囲む。
「なぜ、俺に群がる……。ん、これは……」
鳩の群れがロボスの身体を突く。少し痛いが、ダメージがあるわけではない。
鳩に囲まれる中、ロボスは自分の体に付いたあるものに気づく。
「これは、折り紙で作った餌か……。そうか、釣竿で俺の身体に……」
イタッチは釣竿での攻撃がロボスに避けられるのは想定済みだった。だから、釣竿に餌をつけ、ロボスの身体に落としてきた。
ロボスの身体に残った餌を鳩達が狙って群がるように。
「鳩のせいで視界が…………」
大量の鳩がロボスの周囲を群がることで、ロボスの視界の先は鳩の姿しか見えなくなる。やがて赤い羽根が視界を覆い尽くして、完全にイタッチの姿を見失った。
「ッ!!」
肌に冷たい感触。右腕に何かが触れた感触がして、ロボスは左へ大きく飛び上がった。
その判断は正解であり、ロボスは切られずに済んだ。
先ほどの冷たい感触は、イタッチの折り紙が触れた感覚。鳩の群れに姿を隠してイタッチはロボスに近付いて切りかかってきていた。
このまま鳩が覆っていると不利だと判断し、ロボスは膝を曲げて姿勢を低くすると、腰につけたベルトのあるボタンを押した。
すると、腰につけたベルトから炎が発射され、折り紙でできた鳩は燃えて散りとなる。
これでやっとイタッチの姿を確認することができた。
「なるね、怪盗君」