第187話 『ロボス』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第187話
『ロボス』
ロボスはイタッチへ目線を向ける。
「君が……例の怪盗君か。噂は聞いている。各地でお宝を集め回っているようだね」
「そりゃ、怪盗だ。お宝を盗むのが俺の仕事だからな」
イタッチがそう答えると、ロボスは頭に被っているカボチャを外す。そして人間である素顔をイタッチに見せた。
「ほぉ、人間だったのか」
イタッチは少し驚きの反応を見せるが、ロボスはそのイタッチの反応は無視する。
「俺は君に会ったら聞いてみたいことがあったんだ。君ほどの実力者がなぜ、泥棒なんてやってるんだろう……ってね」
ロボスは外したカボチャを地面に落とすと、片足を乗せる。
「俺が怪盗やってる理由か……。そんなの楽しいからに決まってるだろ」
そう回答したイタッチの反応に、ロボスはカボチャを踏み潰して粉々にする。
「嘘はいけないよぉ、怪盗君。君は愉快犯じゃない、目的があって事に及んでいる……。世間の目を騙せても、俺は騙せないよ」
カボチャを潰したロボスは、イタッチのことを睨みつけた。
「君の盗むお宝には共通がある。あんな力を持ったお宝を蓄えて、何を企んでるんだい? ……まさか、世界を壊そうだなんて考えてないだろうね?」
ロボスの発言を聞き、ダッチは肩をビクッとさせる。そして振り向いてイタッチの顔を見た。
心配そうな顔をするダッチに、イタッチは安心させるように告げる。
「ふ、そんなことするかよ。俺の目的はずっと変わらない」
イタッチの言葉にダッチはホッと肩を下ろした。そして今度はロボスに向けてイタッチは伝える。
「お前に目的は教える気はない」
イタッチが宣言すると、ロボスはやれやれとため息を吐く。
「ま、君が何をしようと、俺には関係のないことか。俺の楽しみはひとつだしね」
ロボスが右手を下ろすと、服の裾からナイフが落ちてきてそれをキャッチする。服の腕の部分にナイフを隠していたようだ。
ロボスが武器を持ったことで、イタッチとダッチはさらに警戒を強める。刀と剣をそれぞれ強く握りしめる。
「ダッチ。お前は先に中に突入しろ」
イタッチはダッチにだけ聞こえる小さな声で、前方にいるダッチは伝える。
「イタッチ、お前は……」
「俺はコイツの相手をする。任せておけ」
「…………分かった。手強い相手だ、油断するなよ」
二人の会話の聞こえていないロボスは、ナイフを持った片手を高く上げる。そしてダッチに向けてナイフを投げた。
ナイフはまっすぐ直線に飛び、ダッチを狙う。
刀でナイフを弾いて防ごうとしたダッチだったが、そんなダッチよりも早くイタッチが前に出て折り紙の剣でナイフを叩き落とした。
「行け、ダッチ!!」