第181話 『開戦の知らせを』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第181話
『開戦の知らせを』
「あー、そうだな。やったよ、俺がやった。んで、だからなんだ? 今日はその報復か?」
「いいや、違う。お前に一つ伝えたかったんだ」
ダッチはベンチに座るウンランを上から睨みつける。
「そろそろ正々堂々ぶつかって来いよ。文句があるなら叩きのめしてから聞いてやる」
ダッチの言葉にウンランはふっと鼻笑いをして、
「それを言いに俺を呼んだってことか。良いぜ、俺達信四神会も準備期間は終わった。大戦争を起こそうじゃないか。どっちが本物の四神かを試すために」
「ふ、今までコソコソしてた癖に本当にやれるのか?」
「やってみれば分かるさー」
少し休んで回復したのか、ウンランはよっこらしょっと立ち上がり、遊園地にある観覧車の方へ目線を向ける。
「ダッチ、今すぐに始めようってわけじゃないんだよな」
「やりたいならやれるが?」
「日時を決めよう。それを開戦日とする。ダッチ、こんなところで話し合ってもなんだ、俺について来てくれ」
ウンランは両手をポケットに入れて観覧車のあるエリアへと歩き出す。何か罠があるのか、ダッチはウンランの誘いに警戒する。
しかし、仕掛けてくるならすでに何度もチャンスはあった。そのチャンスを使わなかったということは、ウンランも今回は話し合いの場としてのみ考えているのだろう。
「分かった。付き合おう」
ダッチはウンランの後ろをついて歩き、観覧車のエリアへ向かった。
観覧車に乗った二人。夜ということもあり、カップルが多い中、男同士で乗ったダッチは気まずそうに向かいの席に座るウンランを見る。
気分の乗らないダッチとは違い、ウンランは嬉しそうに窓から外の景色を眺めていた。
「ダッチ。アンタは外を見ないのか?」
「良いよ俺は……」
「綺麗だよな。夜景ってのは……。なぁー、思い出すことないか?」
「思い出すことだぁ?」
突然そんな話をされて困るダッチ。前に何かあったのか振り返るが、これと言ってウンランと関係がありそうな話はない。
遊園地というと、アンとの出来事と親父と来たくらいしか、パッと思い出せるものがない。
何も思い当たらないダッチが無言でいると、ウンランは少し寂しそうにため息を吐いた。そしてダッチの目を見てキリッと向かい合う。
「じゃあ、始めるか。開戦の話し合いを……」
さっきまでのテンションの高かったウンランとは変わり、ベンチにいた時のような真面目のトーンに戻る。
「ああ、そうしよう。決着の時だ」