第178話 『漢の道』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第178話
『漢の道』
夜の川沿いにダッチが訪れると、その者はすでに待っていた。
軽いウォーミングアップを終えて、身体からは白い湯気を出す。
「来たか。四神のダッチ」
「テメェか。俺に決闘を申し込んできたチャンピオンは」
ウォーミングアップを終えたゾウは、上着を脱ぎ捨ててタンクトップ姿になる。そしてその素顔を明らかにした。
傷だらけの顔はいくつもの戦場を生き抜いてきた証。ゾウの傷だらけの姿にダッチはその名前を呟いた。
「エレファントか」
「名前を知ってもらえてて光栄だ」
「当然だ。四神は地下闘技場に資金提供してるんだ。世界の有名人くらい知ってる」
ダッチは腰につけた刀を抜くと、両手で持って構える。
「早速やろうぜ。俺の方が上ってことを教えてやるよ」
その言葉を聞き、エレファントは両拳を握りしめると、胸の辺りで拳と拳をぶつける。拳がぶつかり合うと、何もつけていない普通の拳だというのに、鉄がぶつかり合ったような高い音が川沿いに響いた。
「俺の方が上だ!!」
エレファントは拳をぶつけた後、早速ダッチに向かって走り出す。
「先手必勝!! ファンファンゴング!!」
エレファントは全体重を乗せて、その拳をダッチに放つ。象の巨体を活かした超重量パンチ。
ダッチは刀を横にしてエレファントの拳を受け止める。
刀の刃にエレファントの拳が触れる。普通なら手が切れるところだが、エレファントは鋭い爪で刀に触れて拳が切れないように工夫する。
「くっ、なんて威力だ」
ダッチはエレファントの拳の威力に、受け止めようとしたのだが、身体がのけぞる。
「俺の拳はどんな強者すら倒してきた。貴様も俺の拳の前に倒れるがいい!!」
「ぐっ!?」
エレファントのパンチでダッチの身体は浮く。そして1メートルほど、後ろへ飛んだ。
「パンチだけでこの威力か……」
エレファントの拳を受け止めた刀からは、煙が立ち上る。
「やるみたいだな。象」
「俺の拳を受けて立っているとはな。流石は四神」
エレファントのパンチで後ろへ下がったダッチは、刀を構え直す。
「今度は俺の番だ」
先手をエレファントに譲ったダッチは、姿勢を低くして走り出す。そしてエレファントの懐に潜り込むと、まずはエレファントの足を蹴り、バランスを崩す。そしてエレファントが倒れかけたところに、刀を振り下ろした。
ダッチの刀がエレファントの首を狙う。しかし、エレファントは倒れそうになりながらも、倒れかけた足で地面を蹴り、不安定な姿勢のまま、ダッチの刀を足で蹴る。
刀と蹴りがぶつかり合い、お互いが弾かれる。ダッチは蹴りの威力で後ろは少し飛び、エレファントは地面を転がった。
地面を転がったエレファントは、ゆっくりと立ち上がると、ニヤリとダッチに笑みを浮かべる。
「良い攻撃だね」
「ふ、テメェもな」