第175話 『食べて食べて食べまくる?』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第175話
『食べて食べて食べまくる?』
大食い大会が始まった。今回出される料理は駅前にあるレストランの人気メニューのハンバーグを30分以内にどれだけ食べられるかという対決。
主催者の合図と共に大会が開始され、参加者は一斉にハンバーグを食べ始めた。
「結構美味いな……」
イタチはハンバーグを食べながら、ジューシーな肉に感動する。しかし、これは大食い大会。そのジューシーさが壁となる。
他の参加者の中から2人が脱落した。それに続き、アンもギブアップ。
「イタチさん、ダッチさん、頑張ってください!!」
アンが応援する中、イタチも頑張って食べ進めるが、ハンバーグを三つほど食べたところで限界が来てギブアップ。
「なんで俺だけが残ってんだよ!!」
イタチ達の中で最後に残ってしまったダッチは、文句を言いながらも無理やりハンバーグを押し込んでいく。
さらに他の参加者からも脱落者が出て、残り時間5分というところで、残ったのはダッチともう1人の参加者だけになってしまった。
残ったダッチをイタチとアンは全力で応援する。
「がんばれ、ダッチ!! もっと押し込め!!」
「水なんて飲んじゃだめですよ!! 食べて食べまくるんです!!」
「テメェは脱落したんだから、静かにしてろ!!」
ダッチは文句を言いながらもついに6個のハンバーグを食べ切った。
しかし、小さな町のマイナー大食い大会だというのに、参加者もなかなかやる。
もう1人の参加者もダッチと同じく6個目のハンバーグを食べ終わる。
「あのトカゲさん。なかなかやりますね」
「ああ、こうなるとどっちが勝つか分からないな」
ほぼ互角の戦い。どっちが勝ってもおかしくない状況。その戦況が続いたまま、残り時間は1分となった。
イタチは腕を組むと、冷静に状況を見る。
「ここからが勝負だな」
「そうなんですか?」
「時間制限がある対決。それで2人とも互角だ。となると、この1分で1皿でも多く食べた方が勝てる」
イタチの予測通り、最後の1分で2人はラストスパートをかけてた。今までよりもペースを上げて、無理矢理にでも口の中に押し込んでいく。
「なんてスピードだ!!」
しかし、一瞬。ダッチの動きが止まりかける。
もう限界を超えていた腹は、破裂して吹き出しそうになっていた。
「頑張れー!! ダッチさん!!」
一度止まりそうになったダッチだったが、アンの応援で再び戦意を取り戻す。最後の一口を無理やり口の中へ入れると、そこで試合終了がなった。
試合が終わり、2人は手を止める。主催者が皿の枚数を数え終えると、マイクを手にして
「優勝はダッチだァァァァァ!!」
「やりましたね!! ダッチさん!!」
優勝したダッチにアンは飛びつき、イタチもダッチの側に駆け寄ると拍手をする。
「よくやったな。ダッチ」
しかし、優勝したダッチの顔は青く苦しそうだった。
「今、飛びつくんじゃねー…………」
脹れ切った腹が今にも破裂しそうで、ダッチは辛そうに立ち上がった。
「しばらくハンバーグは食べたくない」