第174話 『大食い大会』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第174話
『大食い大会』
「ダッチさ〜ん、イタチさ〜ん!!」
喫茶店の二階からアンが叫びながら駆け降りてくる。手に持っているのは一枚のチラシ。
店員であるイタチと、コーヒーを飲んでいた客のダッチの間にチラシを叩きつける。
「ん? なんだガキ」
「これは大食い大会のチラシだな」
二人がチラシを見ると、それは喫茶店の近くにある駅前で行われる、大食い大会のチラシ。
しかし、なぜそんなチラシを持ってきたのか。イタチとダッチが考え込んでいると、
「ここを見てください!! ここを!!」
アンがチラシの下を指で指す。そこには大食い大会優勝者に渡される景品が書かれていた。
「なんだこれ? パソコンの素材か?」
「はい! pcのパーツです!! しかも今では手に入らないレアもの!! これは絶対手に入れたいです!!」
だから大食い大会なんかにアンが興味を持ったのか。
「どうするダッチ?」
イタチは皿を洗いながらダッチに委ねる。ダッチはコーヒーを一口飲むと、
「俺はやらねぇ。欲しいなら自力で手に入れろ」
そう言って冷たくあしらう。だが、アンもそれでは諦めない。ダッチの腕を掴むと身体を揺らす。
「ダッチさ〜ん、手伝ってください〜、私一人じゃ勝てませんよ〜」
「なら諦めるんだな」
「ム〜」
アンは頬を膨らませて、不服を訴える。しかし、そんなことでダッチが揺らぐはずがない。
イタチもそのことが分かっているため、笑顔で二人の様子を見守る。この程度でアンが諦めるはずがない。次はどんな手に出るか……。
次にアンが取った作戦は、アンはパソコンを開いてメモ帳に目を通す。
「手伝ってくれないならダッチさんの恥ずかしいことを暴露します。昨日のダッチさんは朝早くから…………」
そこまで言いかけたアンの口をダッチは両手で塞いだ。
「よぉし、分かった。やってやる。やってやんよぉぉ!!」
こうして大食い大会に出ることになってしまった。
大食い大会当日。駅前のレストランでイタチとダッチ、アンは並んででテーブルに座る。
いざテーブルに座ったダッチは、両手で顔を覆い隠して恥ずかしそうにする。
「なんで俺が……こんな目に……」
「四神の部下が見たらびっくりするだろうな。マフィアのボスが子供に説得されて大食い大会に出てるんだ」
「言うな!! 言葉にするとより惨めになる!!」
イタチ達の他にも5人の挑戦者がテーブルに座っており、いつでも食える体制だ。
参加者8人が揃うと、今回の主催者である人物が顔を出した。
その姿は背中に赤い模様のあるムカデ。ムカデは無数の足でテクテクと歩いて参加者の前に立った。
「今回は参加していただいたありがとう。それではこれから大食い大会を始める」