第173話 『終結へ』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第173話
『終結へ』
警部達をワンコ長官の元に送り届けたイタッチ達は、その後バラバラに姿を消した。ワンコ長官はお礼にと食事の用意をしていたのだが、警部達との話が終わり、彼らのいる廊下へ出たがすでにいなかった。
その後、COLORSのメンバーが無事に例の五人とその関係者の捕縛に成功。COLORSのリーダーであるリドルグも病院で意識を取り戻した。
「ワンコ長官も上手くやってタヌキ共を逮捕できたみたいだな」
喫茶店で客が来るまで新聞を読んでいたイタチが、新聞の内容を口にする。
「そうですね。無事に終わって良かったです。あ、そうそう、サソリさんのその後を調べたんですけど、聞きます?」
パソコンを操作していたアンが、何やら怪しいことを口にする。
「いいや、良いよ。なんとなく想像はつく……」
「そうですか……」
ハッキングまでして調べた情報だから自慢したかったのだろう。しかし、イタチとしては聞く気にはなれなかった。
「それよりもだ。お宝の方はどうなった?」
イタチは新聞から目を離し、お宝の行方について尋ねる。
イタチの言うお宝は、サソリが偽物として押収していたものだ。その後、ワンコ長官に偽物のお宝は預けたと聞いたが……。
「それでしたらいくつかは上層部が持っていた本物を発見して、それを展示し直したらしいですよ。でも、すでに闇で売られてしまったものの足跡を辿るのは大変らしいですね」
「まぁ、売られてるよな。資金調達のために上層部もやっていたことだ」
だからこそ、いろんな組織との繋がりがあったのだ。しかし、そういう時こそ、彼の出番だろう。
「まぁ、売られたお宝も時期に戻ってくるさ。アイツがいるんだ」
「アイツ? ですか?」
「ああ、例のアイツさ」
イタチとアンが喋っていると、店の扉が開かれる。扉についている鈴を鳴らして、入ってきたのは常連のお客さん。
「お、爺さん元気にしてたか?」
「イタチ君も元気そうだねぇ。それじゃあ、いつもので頼むよ」
「あいよ」
暗闇の屋敷でサイレンが鳴る。
「大変だ。お宝が盗まれたぞ!!」
「なんだと誰だ!! 誰の仕業だ!!」
「あのお宝を盗まれたら警察との関係がバレちまう!! 急いで取り返せ!!」
サイレンの鳴る中を駆け回る警備。そんな警備員の姿を屋根の上からサソリが見下ろす。
「サソリ。待たせたな」
屋敷の扉をぶち破りお宝を持って、サソリと合流したのはヒョウ。ヒョウはサソリにお宝を渡すと、
「アイツらはまだなのか?」
「そろそろ来る。待ってろ」
サソリの言う通り、上空に気球が現れる。その気球の姿に気づいた警備員が声を上げた。
「いたぞ。侵入者はパンテールだ!! 捕まえろーー!!!!」
月明かりの照らす夜に、怪盗団が現れた。彼らの目的は……。