第167話 『鬼vsウサギ』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第167話
『鬼vsウサギ』
火花が散る。ウサギの刀と鬼のナイフがぶつかり合い、激しい衝突音を響かせた。
ビルの内部に響く音は、リズムを奏でるように何度も響き続ける。
「やるねぇ、四神君」
笑顔で武器を振い続けるロボスに、ダッチは舌打ちをする。
「テメェ、まだまだ余裕ってか!!」
ダッチはさらに刀を振る速度を上げる。戦闘を見ているヒョウの目線からは、二人の武器の動きは見えず。二人が向き合い、腕を振っているようにしか見えない。
そんな速さで攻撃をしても、ロボスはナイフであっさりと攻撃を受け流した。
刀とナイフ。強度には大きな差がある。だというのに、ロボスはナイフで刀を受け止めている。
それはロボスがナイフにダメージがいかないように、威力を殺して刀を受け止めているからだ。刀に触れたナイフ、その衝撃を腕に流し全身で無力化する。
ダッチは速度を上げたが、攻撃が全て無力化される。このまま無鉄砲に攻撃をしていても体力を消耗するだけだと判断し、大きく後ろに飛び上がりロボスから距離を取った。
射程距離から離れたダッチをロボスは追いかけることはせず、その場でナイフを止めた。
「どうしたんだい? 距離を取って……。俺のことが怖いか?」
「あぁ? そんなことあるかよ。だが、テメェの実力の高さは認める……。だが、リドルグが繋いでくれたんだ。負けるわけにはいかねぇよ」
「ふんふん、頑張るねぇ。じゃあ、そんな君に特別に試練を与えよう!!」
ロボスはそう言うとナイフを腰につけたベルトに挟む。そして何も持っていない指で人差し指をピンと立てた。
上を向いた指。その指に皆が注目する中、ロボスはニヤリと笑うと、
「あっれぇ、俺のびっくりだぁ、みんな無事だったんだねぇ」
ロボスがそう言うと同時に、倒れていたはずのスーツの集団がゾロゾロと動き始める。そして不安定な動きで立ち上がった。
「何だあいつら……意識がないはずじゃ……」
ダッチは刀を構えて警戒する。だが、立ち上がった集団の様子がおかしい。
「…………いや、何だあいつら」
目を瞑り、意識があるようには見えない。しかもナイフで首を刺された奴や腹に穴が空いている奴までもが立ち上がる。とても彼らは動けるような傷じゃない。ということは、
「テメェ、なにしやがった!!」
叫ぶダッチに返答するようにロボスは不気味な笑みを浮かべる。
「彼らは俺の人形さ。動く屍……。さっさとやられた君たちにもう一度大チャァンスだよ!! 意識が無くても依頼を達成できるかな?」