第165話 『カボチャvsダッチ』
怪盗イタッチ大作戦！！
著者:ピラフドリア
第165話
『カボチャvsダッチ』
ダッチは負傷したリドルグを支えて歩かせると、後ろにいるフクロウ警部とゴリラ警部の元まで移動させる。
「コイツを頼むぞ」
リドルグを横に寝かせて、応急処置を始めたフクロウ警部とゴリラ警部。普段は睨み合っている二人だが、今回はサソリが関わっているということもあり、強力的だ。
「応急処置はするが、出来る治療は限られるぞ」
ゴリラ警部はダッチにそう告げるが、ダッチは問題ないと言い張った。
「よく見な。リドルグを」
「ん？」
リドルグの傷を見ると、傷口の周りの筋肉を動かして自ら出血を止めている。それだけではない内臓なども筋肉を操作して自力で守っていた。
これなら応急処置だけの場合よりも時間が稼げる。
「流石はCOLORSのリーダーだな。これはイタッチだって一回は負けるさ」
それでも時間は限られる。ダッチは刀を抜くと、カボチャと向き合った。
「さて待ってもらって悪いが、時間がないんだ。さっさとけりをつけさせてもらうぜ」
ダッチに刀を向けられたカボチャだが、ふふふと陽気に笑う。
「いいよいいよ〜、でも四神のダッチ。君は俺に勝てる自信があるのかい？」
「あるとも……あの猿がお前の戦い方を見せてくれたからな。それに仲間に負けないって約束してきたんだ。絶対に勝つさ」
「面白いね。なら、やってみようか」
カボチャは両手を広げる。すると、両手のスーツの中から小型のナイフが出てきた。そして指にナイフを挟んで両手に四本ずつのナイフを持った。
「まずは腕試しだ！」
カボチャはまず最初に左手に持っていたナイフを全てダッチに向けて投げつけた。真っ直ぐな軌道で飛んでくるナイフ。
ダッチは刀を一振りして、飛んできたナイフを打ち落とした。
全てのナイフを切り落としたダッチだが、ナイフを投げたと同時にカボチャは近づいてきていた。
ダッチに距離を詰めたカボチャは、右手に持ったナイフをダッチの顔を狙って振りかざす。
「くっ！」
どうにか躱したダッチ。しかし、頬をナイフが掠れる。ギリギリのところを避けて刀を振り上げてカボチャを切ろうとした。
カボチャの部分を刃が通り抜け、ボロボロにカボチャが砕ける。
カボチャを被っていた人物は、カボチャとナイフを捨てて後ろに飛んでダッチから距離を取った。
「それが素顔……か」
カボチャが無くなり、やっとその正体が露わになる。
薄橙色の皮膚を持ち、黒い短髪の髪の男性。顔は鼻が高く、目つきは鋭いが整った印象を持つ。
身体を毛や鱗が覆っていることはない。
「珍しいな……」
動物人間と呼ばれる彼らが多くいる中、極めて少ないが実在する種族。
動物の特徴を持たない分、身体能力や機能が低いとされる。
カボチャの正体は人間。黒髪の青年だった。
