表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怪盗イタッチ大作戦!!  作者: ピラフドリア
162/208

第162話 『上層階の悪夢』

怪盗イタッチ大作戦!!




著者:ピラフドリア




第162話

『上層階の悪夢』




 ビルの最上階。その一室の囲うように黒いスーツに身を包んだ集団が集まっていた。




「この部屋にターゲットのワンコ長官がいるんだよな」




「ああ、その通りだ。部屋に突入したら、一斉射撃で護衛者とも吹き飛ばすぞ」




「へいへい……」




 スーツの集団が作戦を口にする中、その中でカボチャを被った人物が周囲を警戒する。




「待て、お前ら……。下にいたヒッポの連絡だとフクロウを含めた数名が上に登ったって話だろ……。おかしいぞ、まだ遭遇してないのは……」




 警戒を高めるカボチャだが、そんなカボチャの言葉を他の連中は嘲笑う。




「何ビビってんだ。もう中にいるんだろ。なら、俺達には気付いてないさ。突入と同時に蜂の巣だ」




 集団の中で一番ガタイがよく強そうなスーツの動物が扉の前に立つ。そしてマシンガンを片手にドアを蹴り飛ばそうとした時。

 通路の端からナイフが飛んできて、ガタイの良いスーツの動物の首に刺さった。




「なっ!? 何が……」




 動物は何が起きたのかもわからず、ふらふらと通路の壁に寄りかかり、力を失って倒れる。




「敵だ!! 敵が現れたぞ!!」




 集団の中の一人が拳銃をナイフの飛んできた方向へ構える。いつ何が通路の角から飛び出してきても撃てる。そして構えていた場所から現れたのは、




「ごほほほぉ、早い早い、流石に手を回すのが早いなぁ!!」




 筋肉ムキムキでタンクトップがパツパツになっているマンドリル。マンドリルは角から姿を現すと、真っ直ぐスーツの集団へ向かって低い姿勢で走り出した。




「コイツ、COLORSの!? なんでこんなところに、他のところで任務中のはずじゃ!?」




「だが、攻撃してきたってことは敵だ!! 撃て!! 撃って撃って、撃ち倒せ!!」




 スーツの集団はそれぞれの武器を使い、リドルグを撃ち倒そうと発砲する。しかし、リドルグは天井へ飛び上がると、照明器具を取っ手として使い、天井に張り付いて移動する。




「早いしコイツの動き、予測できねェ!?」




 スーツの集団の放った弾は一発も当たることなく、リドルグは集団へと接近した。




「近づかれた……だが、こっちは14人、一人で何ができる!!」




 スーツの集団は武器を切り替えると、リドルグに一斉に襲いかかるが、リドルグは一人一人確実に殴り飛ばし、あっという間にその場にいたスーツの集団を、一人を覗いて倒してみせた。




「残りは一人……。俺が奇襲を仕掛けても冷静だったところを見ると、かなりの実力者と見えるねぇ」




 残ったのはカボチャを被ったスーツの人物。彼はリドルグが現れた時、皆が焦って発砲する中、一人だけ様子を伺い撃つことはなかった。

 それに接近戦に持ち込まれた時も、仲間を盾にして距離を取っていた。




「COLORSのリドルグ…………まださっきの角にいるよな。出て来いよ、ナイフを投げたやつも含めてな」




 カボチャの人物はリドルグが飛び出してきた、通路の角に向かって叫ぶ。すると、通路の角からヒョウ、ダッチ、フクロウ警部とゴリラ警部が姿を現した。




 カボチャは首にナイフの刺さった仲間の元へ向かうと、首からナイフを抜き取る。そしてカボチャの正面に開いた穴にナイフを近づけると、スーッと息を吸い込んだ。



「はぁぁ、良い香り……。パンテールのヒョウ、これは君のものだな、返しておくよ」




 そしてカボチャはナイフについた血を、ハンカチで拭くとヒョウに投げ返す。

 ヒョウはナイフを受け取るが、カボチャの人物に匂いを嗅がれたのが嫌だったのか、眉間に皺を寄せて嫌そうな顔をして「あげる」とゴリラ警部に渡した。




 渡されたゴリラ警部も困った顔をしているが、一応証拠品として丁寧にビニールに包むと保管した。

 ヒョウにナイフを返し終えると、カボチャはリドルグに目線を戻す。




「どうやらCOLORSは裏切ったようだね。っとなると、依頼人が少々危ないか……」




 カボチャは落ち着いた声でそう呟くと、近くに転がっている仲間の元へと向かう。




「ヒッポと俺くらいしか、名のある始末屋は来てない……COLORSが裏切ったとなると、こちらも戦況的には厳しい……」




 カボチャの足音が耳音で聞こえたことで、リドルグに気絶させられていたスーツの一人が目を覚ます。しかし、立ち上がる力は残っていないようで、その場で地べたに顔を擦りながら疑問を口にした。




「名のある……だと…………テメェ、下っ端じゃねーのか……」




 カボチャは意識を取り戻したスーツの仲間に手を差し伸ばすと、優しく支えてあげて立ち上がらせる。




「正直言って俺はこの名が嫌いだ……。名前が売れすぎて、成長を実感できない」




「す、すまねぇ……」




 仲間が礼を言うと、カボチャは肩を貸してあげる。




「さぁって、ここで逃げても良いんだが、逃げるのはつまんないからね。残った俺達で頑張ろうか」




 カボチャは不気味な声で笑いながら、リドルグ達の向き合った。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ