第161話 『決戦へ』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第161話
『決戦へ』
イタッチは黒豚とサソリを連れて、都内にあるとあるビルを目指していた。そのビルの最上階、そこにワンコ長官がいる。
すでにワンコ長官にはフクロウ警部達が向かうことを伝えて、そのビルで待機してもらう形になっている。
警視庁内や自宅で会うことができなかったのは、警察内部に上層部と繋がりがある者がおり、その者に阻止されないためだ。
地下鉄を降りてビルを見上げる。駅前にあるビルこそが例の待ち合わせ場所だ。
「ここからはどんな刺客が現れてもおかしくない。警戒しろ」
イタッチが振り向いて後ろの二人に警戒を促す。黒豚は首を縦に振って親指を立てる。サソリはハサミで両手ピースで問題ないとアピールしてきた。
「……ちょっと心配だな……」
イタッチは二人を連れてビルへと向かう。
イタッチ達のチームはサソリを連れて、地下鉄からビルへと侵入。フクロウ警部はリドルグが、ゴリラ警部はダッチとヒョウが別ルートから侵入する計画になっている。
残りのパンテールのメンバーはビルの巡回を行い、アンはアジトから無線で指示を出す。リドルグ以外のCOLORSのメンバーは上層部の五人を拘束して、行動を封じる。
大人数で行う作戦だ。一つ狂えば、全ての計画が狂う可能性もある。その場合は臨機応変で対応をするという流れだ。
「フクロウとゴリラは無事に部屋に着いたみたいだ。俺たちも急ごう」
エレベーターに乗り込んで、最上階へと上がろうとした時。
「キキキ〜、そのまでだキ〜」
黒いタイツで全身を包んだ謎の二足歩行動物がエレベーターに駆け込んできた。タイツはエレベーターの閉じるボタンを押して、イタッチ達の逃げ場を奪う。
「何者だ……」
イタッチはサソリを奥へと避難させ、黒豚と共にタイツと向き合う。タイツはキーッキキーっと不思議な笑い声を出した。
「俺は始末屋ヒッポ。事情は分かってるはずだキ〜、お前達を倒す依頼を受けてきた」
ヒッポは拳を握りしめて戦闘の姿勢になる。ヒッポの登場にイタッチはニヤリと笑った。
「お前が俺達を狙ってきたってことは雇われたのはお前だけじゃないってことだな」
「キキキ〜、そういうことだキー。すでに上には腕利きの始末屋が向かったキー。ま、君達はここで俺に始末されるから、関係ないがなぁ」
ヒッポはまずは手前にいるイタッチを倒そうと殴りかかってくる。しかし、イタッチに拳が届く前に横から黒豚の手が伸びて、ヒッポの腕を掴んで止めた。
「邪魔……キー!! …………ん!? 力が強い、は、離せ!? 腕を離せキー!?」
黒豚の力にヒッポは腕を引くことも伸ばすこともできない。動揺しているうちに、黒豚は拳を握りしめると、強烈なパンチでヒッポの顔面を殴り、一撃で気絶させた。