第160話 『上層部』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第160話
『上層部』
「上の権力って誰だ?」
ダッチが首を傾げると、無線の先からリドルグが答えた。
『警察のトップであり、上層部の五人に毒されておらず、フクロウ警部達への信頼もある男。ワンコ長官に助力を求める!!』
無線から聞こえた名前にサソリは、目を丸くして唇を震わせた。
「ワンコ長官!?」
驚くサソリの声が聞こえたのか、リドルグがクスクスと笑う。
『懐かしいだろぉ、お前達三人を育てた大恩人だってな。警視庁には例の五人と繋がりを持つ連中は数多い。だが、ワンコ長官は彼らとの繋がりは薄く、証拠不足で何もできなかったが疑っていた。ワンコ長官に書類を渡し、世界中に報道してもらう。それが俺達のミッションだ』
リドルグがこれからの作戦を説明した。その作戦を聞き、イタッチやサソリはニヤリと頬を上げた。
そしてサソリはフローにハサミを近づける。
「んじゃ、これで計画は一段階進んだってことだ」
ハサミがじわじわと寄ってくると、フローの顔は青くなって怯える。
「ま、ま、ま!? 協力しようって流れじゃないの!? やめてくれ!! そんな狂気を俺に!?」
フローが身体を震えさせる中、サソリはフローを縛っている縄をハサミでチョキっと切って、フローを解放した。
「怖がるな、変なことはするかよ」
「何も言わずにハサミ近づけてきたら怖がるわ!! 俺カエルだぞ!! 喰われるかと思ったわ!!」
「食うかよ……」
サソリが呆れ顔をする中、イタッチはフローの持っていた無線を受け取る。
「リドルグだったな。今回はお前達に指揮を任せる。詳しい作戦はどうする?」
『まずはワンコ長官の安全を確保したい。そしてワンコ長官に書類の信ぴょう性を持ってもらうために、警察関係者にその任務を任せる』
ワンコ長官の安全確保。それは今回の作戦で重要になるだろう。上層部からすれば、ワンコ長官は邪魔者になる。ならば、ワンコ長官を排除する動きをするかもしれない。
だからワンコ長官の身の安全を守る必要がある。さらにイタッチやヒョウが書類を届けても、怪盗の持ってきた書類ということで信頼は得られない。となると、
『フクロウ警部、ゴリラ警部、そしてサソリ……。この三人がワンコ長官の元へと向かう。残りのメンバーは上層部の身柄の確保、または三人の援護を行う』
リドルグの作戦を聞いたサソリはハサミを閉じたり開いたりして動揺を見せる。
「待ってくれ、俺はもう警察を……」
しかし、サソリの異論は聞かずにリドルグは指示を続ける。
『COLORSのメンバーは上層部の捕縛、そっちのメンバーは自由に決めろ。幸運を祈る!』