第158話 『偽物のお宝』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第158話
『偽物のお宝』
イタッチとサソリの返事を聞いたリドルグは無線の向こう側で大いに笑う。
『ごほほほぉ、それを聞いて安心した。今回の騒動に関しては……だがな』
フローの無線から聞こえてくるリドルグの言葉に、ダッチは頭にハテナが浮かぶ。
「どういうことだ? 盗んでたお宝が偽物って?」
そんなダッチの疑問に、隣に座りパソコンの画面を覗いていたアンが目線を動かさずに答える。
「ここ数ヶ月でイタッチさんが盗んだお宝の一部、そしてサソリさんが盗んでいたお宝は偽物ってことですよ」
「ニセモノだァ? どうしてそんなものを……」
「それが警察上層部の秘密……そういうことです」
アンはパソコンの画面から目を離さずにダッチに説明をした。しかし、ダッチは理解できていない様子で、口をポカーンと開けている。
そんなダッチの姿をヒョウはクスクスと笑うと、
「上層部は展示品を偽物にすり替えて、闇ルートで売ってたってわけだ。だから偽物のお宝を盗むことで上層部に焦りを与えたってわけだ。理解できたか? 四神のダッチ」
ヒョウが揶揄うように説明をして、ダッチは悔しそうに歯を食いしばる。
「ああ、説明あんがとよ……。んでもよ、焦らせるってより警戒を強くするだけじゃねーのか?」
ダッチの疑問にサソリがフローを見下ろした姿勢で返答をする。
「その警戒が重要なんだ。上層部は焦って例の書類を厳重に保管した。つまり自分達で表に出せない書類はここにあるとアピールしたってわけだ。そこで俺が盗んだ」
サソリの言葉に続き、イタッチが話を続ける。
「そしてそれはある奴らを仲間に引き入れるきっかけにもなる」
『全て計画のうち。そういうことか。まぁ俺達COLORSもその話を聞いたら、仲間になるしかないがな』
話を聞いたダッチは納得できていないようで、なんとも言えない不思議な表情をしているが、これ以上口を挟まないようにしたようで口を閉じた。
『それでだ。サソリ、イタッチ。お前達はどう動く?』
フローの無線からリドルグが尋ねてくる。その問いにサソリは
「警察で俺の信頼できる人にこの書類を託す」
迷うことなくはっきりと答えた。その返事を聞いたリドルグは大きく口を開けて大笑いする。
『ごほほほぉ、それはジャストタイミング!!!! COLORSの行動が、お前達の正義と重なるとはな!!』
そう言うと、リドルグは無線を動かして誰かに渡したのか、無線の先からガサガサと物音が聞こえてくる。
そして音が止むと、聞き覚えのある暑苦しいが流れてきた。
『イタァァァァァァッチ!!!! 逮捕するぅぅぅぅぅううっ!!!!』