第154話 『忍法』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第154話
『忍法』
三人に分身したフローが刀を振り下ろす。しかし、ダッチは刀を横にして一度動かしただけで、三人の刀を受け止めた。
「「「そんな、俺の忍法が!?」」」
刀を止められたことに驚きの顔をする。全ての顔が同時に変化して、ダッチの刀を警戒して同時に後ろに飛び跳ねてダッチから距離を取った。
「「「やるね。だが、ここからが俺の忍法の見せ場だ!!」」」
フローは手を前に突き出す。すると、
「「「忍法、水砲術」」」
フローの手に大気中の水分が集まる。そして集まった水はバケツ一杯分の大きさになると、破裂するようにしてダッチに向かって放射された。
三人のフローから同時に発射された水が、ダッチに襲いかかる。例え、刀を止めることができても、水を切ることはできない。
「「「さぁ、どうする!!」」」
「それなら」
ダッチは刀を横に持つ。そして小さく小刻みに刀を揺らし出した。
「あの構えは……」
ダッチが何をする気なのか、分かったイタッチはヒョウとサソリに折り紙で作った耳栓を投げ渡す。
「喰らえ!!」
刀から発せられた音波は、飛んでくる水柱に振動を与える。その振動は水柱の動きを変化させて、ダッチの元に届く前に破裂させて散らした。
「「「なに!? この忍法まで!?」」」
次々と忍法を突破され、フローは自信を失ったのか、膝から崩れ落ちた。
「さて、まだやるか?」
「いや、俺の負けだ。四神のダッチ」
フローは敗北を認めて、武器を下ろして手を地面につける。
「負けを認めるか……。だが、本当に良いのか? サソリを手に入れるのかお前達の作戦だろ?」
「確かにそうだ。それが俺の任務だ。だが、負けて命を落とすくらいなら、俺は負けを認めよう」
「なら、COLORSの目的について話してもらおうか?」
ダッチは降参したフローに近づく。フローは顔を上げて見上げると、
「分かった。話そう、……COLORSの目的と雇い主について…………」
「フクロウ警部!!」
夕陽をバックにネコ刑事が名前を呼ぶ。
「なんで警部が!! 警部!!」
ネコ刑事が叫ぶ中、フクロウ警部の両羽に手錠が嵌められる。
「フクロウ警部、そしてゴリラ警部をスパイ容疑で逮捕する」
すでにパトカーにはゴリラ警部が乗せられており、フクロウ警部も警官に連れられてパトカーに押し込まれる。
中で久しぶりの再会をしたフクロウ警部とゴリラ警部は手錠で繋がれているというのに、お互い無言で睨み合う。
パトカーと扉が閉められて、車が発進する。ネコ刑事は何もすることができず、フクロウ警部の乗るパトカーに向かって手を伸ばした。
「警部!! 警部ぅぅぅぅっ!!」