第152話 『病棟決戦』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第152話
『病棟決戦』
サソリと合流したイタッチ達は、病棟からの脱出を目指して廊下を駆けていた。
「アン、次はどこへ行けばいい?」
イタッチが無線でアンに尋ねると、無線の先でパソコンを操作して確認をしたアンが答える。
「防犯カメラの映像ではこの先に警備員がいます。少し迂回ルートにはなりますが、右から行きましょう」
「分かった」
アンのナビを頼りにして先へと進んでいく。先頭をイタッチ。その後ろをダッチ、サソリと並んで一番後ろをヒョウが進む。
「サソリ、大丈夫か?」
走りながらも身体の痛みで、度々壁に手をつくサソリ。その姿を見てヒョウは心配をして手を差し伸ばすが、またしても手を払われる。
「近づくな……」
キツイ言葉で突き放すサソリ。その言葉にヒョウは伸ばした手を伸ばし切ることができずに、引っ込める。
サソリとパンテールが出会い、共にいた期間はそれなりに長い。それでもサソリはパンテールに心を閉ざし、コマとしてのみ考えているか。
助けに行ったのにこの態度。サソリの対応にヒョウは下を向き、尻尾を下にしながらも走り出す。
うまく警備員を回避して、ロビーまで辿り着くことに成功した。
後は扉から脱出するだけ。イタッチが外の様子を確認して、扉を開けようとした時。
「っ!? ヒョウ、サソリ!!」
暗闇の中でダッチが叫び声を開けた。薄暗い中、突然なぜ叫んだのか。
白い身体がサッと移動して、ヒョウ達を突き飛ばす。そして刀を抜くと、飛んできたクナイを弾き飛ばした。
「クナイ……私達を狙ってか!?」
ヒョウがダッチの弾いたクナイを見て、驚きの声を上げる。
「暗闇に乗じて攻撃してくるか。しかし、俺がいて良かったな」
ダッチは自慢げに耳をピンと立てる。
「俺は耳が良いんだ。こんな暗闇でもはっきりと聞こえるぜ。そこに隠れているやつ、出て来い!!」
ロビーに飾られた植物。その陰からダッチの声に反応して姿を現す。
「やるね〜。ダッチ……」
出てきたのは緑色のカエル。忍者のような服装をしており、背中には刀を背負い、手にはクナイを持っていた。
「何者だ……」
ダッチが聞くと、カエルはポーズを取る。
「COLORSのフロー。それが俺の名さ」
「COLORS……こんなところでも仕掛けてくるとは、仕事熱心だな」
「嬉しいね〜。褒めてもらえるのは……。んでだ。イタッチとダッチの二人に提案だが、そこにいるサソリを置いて行く気はないかい? そうすれば見逃してやる」
COLORSの目的はサソリを捕えることなのか。
フローの提案にイタッチは首を横に振る。
「断る。理由は知らないが、俺達のお宝を横取りしようっていうなら、容赦しないぜ」