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怪盗イタッチ大作戦!!  作者: ピラフドリア
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第148話 『パンテールとイタッチ』

怪盗イタッチ大作戦!!




著者:ピラフドリア




第148話

『パンテールとイタッチ』





「怪我を気にして落ち着かせようとしてるなら、押さえつけてくるなよ!!」




 リビングで集まったメンバーで円状に集まり、状況の説明をしていた。

 ダッチが黒豚に叫ぶが、黒豚はサングラスをクイっと上げるだけで答えることはない。




 答えない黒豚の代わりに、ヒョウが事情の説明をする。




「コイツは喋れないんだ。声が出せないわけじゃないが、……事情があってな。許してやってくれ」




「……そうかよ」




 ダッチはヒョウの説明を受け、そっぽを向いて大人しくなる。

 ダッチが騒ぐのをやめたところで、イタッチは本題に入った。




「パンテール。お前達はサソリと共に行動してたんじゃないのか?」




 イタッチの記憶では、パンテールはサソリと一緒に行動していたはずだ。




「そうだ、なんでお前達が俺達を助けたんだよ!! 同業者だが、馴れ合うタイプでもないだろ!!」




 またしても騒ぎ始めるダッチ。そんなダッチの口をイタッチは手のひらで抑えて黙らせる。

 本題に入り、ヒョウと黒豚は視線を落とす。その姿を見たイタッチは




「何かあったのか?」




「…………イタッチ、君達に助けてもらいたい」









 列車でのお宝争奪戦に敗れたパンテールは、失敗の責任で組織に追われることになった。

 ヴィオレットゥ家は繋がりのあるマフィアを使い、暗殺のプロにパンテールの始末を依頼。パンテールは長い間、組織からの逃亡生活をすることになった。




 そんな時だった。彼が現れたのは……。






「追い詰めたぞ。パンテール」




 ローマの街を逃亡していたパンテールは、ついに追い詰められて、袋小路で囲まれていた。

 パンテールが路地に入ったことで、路地にあったゴミ箱からネズミが逃げ出す。そして夜の街へと消えていく。




「リーダー。もう残った部下は……」




「ああ、ここにいるメンバーだけか」




 ヒョウは拳を握り、部下達の前に出る。

 仲間を逃すために犠牲になった者達のために、捕まるわけにはいかない。




「リーダー、どうするんですか!?」




「私が突破口を作る。お前達はそれを使って逃げろ」




 ヒョウの腰にはホルスターがあり、そこには銃が入っている。しかし、もう銃の弾はない。

 そのため、ここを逃げるためには接近戦をするしかない。




 ヒョウが構えると、追っ手は銃口をヒョウに向ける。

 まずは初段を避けて、手前にいる追っ手を人質に……。




 ヒョウがそう考えていると、




「……騒がしいと思えば…………これは事件の匂いだな」




 路地の出口。追っ手の後ろに黒いコートを着たサソリが現れた。

 追っ手は突然現れたサソリに驚いて銃口を向ける。銃口を向けた追っ手の一人がサソリに詰問する。




「貴様、コイツらの仲間か!?」




 サソリは追っ手の隙間から、パンテールの姿を確認する。




「いいや、知らないな」




「そうか、なら早く帰るんだな。首を突っ込まないことをお勧めする」




「…………そうらしいな」




 銃口を向けられているというのに、冷静に返事をするサソリ。このサソリは一般人ではないのだろうか。




 しかし、この人物とパンテールには繋がりはない。助けてくれることはないだろう。ほんの少し、命が伸びた……。だが、もう終わり……。




 ヒョウ達、パンテールのメンバーが諦めていた時だった。




「しかしなぁ…………」




 サソリは追っ手がまだ銃口を向けているというのに、追っ手達に近づいていく。

 その歩くスピードから迷いと恐れを感じさせない。




「な、なんのつもりだ!?」




 サソリは追っ手の中で一番近くにいた人物の銃口に、額を擦り付ける。




「コイツ、狂ってるのか!?」




 サソリの行動にその場にいた皆が、動揺を見せる。追っ手の一人は銃を上げて、サソリから狙いを逸らした。




「知らないなら帰れ、ここはお前のような観光客が来るような…………っ!?」




 動揺を見せた追っ手達、その動揺が一瞬の遅れを生んだ。サソリは銃を上げた追っ手の腹を殴る。

 そして腕を掴んで背負い投げをした。




「コイツ、やっぱりパンテールの仲間か!!」




「撃て、撃ちまくれ!!」




 追っ手は一斉に発砲する。しかし、すでに遅かった。追っ手の懐に潜り込んでいたサソリにとって、焦りで的の定まらない弾丸を避けるのは簡単なことだった。

 銃弾を躱し次々と追っ手を倒していく。




 そしてあっという間に、追っ手は全滅した。




「アンタ……何者なんだ」




 ヒョウは恐る恐るサソリに尋ねる。




「元警官さ。お前達、パンテールだな。……一つ、俺の計画に手を貸さないか、そうすれば、この国から逃がしてやるよ」








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