第146話 『トドメ』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第146話
『トドメ』
川辺にイタチとウサギが倒れる。二人を倒したンコイとリドルグは捕らわれていたルーパを救い出す。
折り紙を破壊して、落ちてくるルーパをリドルグは受け止める。
「大丈夫か? ルーパ」
「助かった。二人とも……」
「作戦とはいえ、危険な役をやらせたな。すまない」
姫様抱っこで受け止めたリドルグは、ルーパをゆっくりと降ろす。
「いや、お前達が助けに来ると分かっていたからな。お前達はこんな泥棒如きにやられないって」
「嬉しいことを言ってくれるなぁ。しかし、困ったものだ……」
ルーパを救出したリドルグは、倒れているイタチとウサギに目線を向ける。
二人を気絶させた後、意識のない二人を起動させて並べた。後は……
「命令はトドメをさせ……か」
眠る二人の顔を見て、リドルグは寂しげな表情でボソリと呟く。そんなリドルグの顔を見てルーパは気絶する二人に近づく。
「我々はそのためにこの泥棒と戦った。リドルグに出来ないのなら私が!!」
武器を取り出そうとするルーパの腕を、鳥の羽が覆い掴む。
「待つであーる」
「ンコイ……」
「ルーパも戦ったなら伝わってきたはずであーる。この二人は泥棒であるが、その心には信念がある」
「信念があっても所詮は泥棒の信念。私はトドメを刺すべきだと思うが」
ンコイの羽を振り払い、ルーパはンコイに今にも飛びかかりそうな勢いで言い寄る。ンコイも負けじと睨み返すが、そんな二人の間にリドルグが割って入った。
「やめろ。お前ら……」
リドルグが間に入ると、二人はそっぽを向いて目を逸らし合う。リドルグはそんな二人の頭に優しく手を置く。
「仲間割れは最も愚かな行為だ。俺は本心ではンコイと同じ気持ちだ。コイツらが本当に悪人なのか、戦ったからこそ迷いが生じてる。だが」
リドルグはンコイ達から手を離す。そして、
「悪人であるのは変わらない。だから、俺がやる」
二人を後ろに下がらせると、拳を握りしめる。そして眠るイタチの頭上に拳を置いた。
拳を振り下ろせば、イタッチの顔は潰れる。そしてトドメを刺すことができる。
リドルグは呼吸を整えて、目を瞑る。
目を瞑ったのは、イタッチ達のことを忘れないようにするため。それがリドルグにとっての敬意であり、トドメを刺すイタッチに最後にしてあげられること。
「さらばだ。怪盗イタッチ!!」
リドルグの拳が振り下ろされる。拳がイタチの皮膚に触れそうになった時。リドルグの拳は止まった。
「どうしたであーる? リドルグ」
「何か問題でも?」
突然拳が止まり、動きを止めたリドルグにンコイ達は尋ねる。拳を止めたリドルグはその場で動きを止めたまま、額から汗を流した。
「来たぜ、アイツが……」